【切手美人inザ・ワールド】1994年・フランス 行動する女・ジョセフィン

ジョセフィン・ベーカーの切手

今回の切手美人はアメリカ生まれの女優・歌手・ダンサーのジョセフィン・ベーカーです。

貧しい家庭に生まれ、黒人として差別されながら育ったジョセフィンは10代前半でエンターテインメントの世界に入り、1925年、「レビュー・ネグロ」の一員としてパリにやって来ます。シャンゼリゼ劇場に立った19歳の彼女はしなやかな褐色の肢体でパワフルなチャールストンを踊り、コミカルな芝居を披露。一躍パリのスターになりました。

切手の絵柄はパリでデビューしたころのジョセフィンの笑顔と、16本のバナナをつるした腰みの姿の全身像(94年フランス発行)。この衣装で細かく腰を振りながら踊るバナナダンスが特に有名でした。

母国で徹底的に差別されたジョセフィンはフランスの市民権を取得し、第2次世界大戦中はレジスタンス運動を展開。戦後、シャルル・ド・ゴールからレジオンドヌール勲章を授与されました。63年、人種差別撤廃を求めるワシントン大行進に参加し、呼びかけ人のマーティン・ルーサー・キングと一緒に歩き、スピーチをしています。まさに行動する女だったのです。

先日、アメリカでカマラ・ハリスが女性・黒人・アジア系として初の副大統領に就任しました。彼女より約半世紀前に生まれたジョセフィンが生きていたら、大喜びしたに違いありません。

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