上坂すみれの携帯からロシア国歌…外国語の言葉を知って文化を知るって大事!!

母国語以外をしゃべれるマーティと上坂

【マーティ&上坂すみれ 昭和・平成ソングって素敵じゃん】世界的に有名なギタリスト、マーティ・フリードマンと、ロシア語に堪能な声優・歌手、上坂すみれが懐かしい日本の楽曲を語る連載。今回は番外編。ともに母国語以外の言葉を話せる2人が、外国語と文化、自身の体験を語る。上坂がロシア語を勉強し始めたきっかけは意外な“歌”だった。

【スマホからロシア国歌】

上坂 日本の歌の英語の組み合わせが「カワイイ」とおっしゃってました。カワイイという概念はとても日本っぽいです。英語で言う時は、どのように訳しますか?

マーティ 直訳すると「cute」だけど、これは5歳ぐらいの小さな女の子とかに「she is cute」というような感じで言うから、カワイイをちゃんと伝えられないです。日本語の「カワイイ」はもっと深~い意味でいろんなかわいさを言うじゃん。

上坂 だから海外で「カワイイ」がそのまま使われるようになったんですね。

マーティ 声優の仕事で、いきなり英語が出てくることあるんじゃないですか?

上坂 はい、そういう時は緊張しますし、ちょっと不安にもなります。

マーティ その不安な感じもカワイイですよ。聞いてて応援したくなります。

上坂 私は大学でロシア語を勉強していました。「ガールズ&パンツァー」というアニメで声優をやった時に、ロシアの「カチューシャ」という軍歌を、ロシア語を知らない声優さんと歌ったんです。ネットで反応を見たら、ロシアの方が「すごくかわいい」「キュン」みたいなことを書き込んでくれていました。自分の母国語の歌を外国人が歌っていると、そう感じるんですね。マーティさんがおっしゃっているのは、こういうことですね。

マーティ そういうことです。ロシアには行ったことありますか?

上坂 何回か行きました。ロシアの方は私に合わせてゆっくり話してくれましたよ。優しかったです。

マーティ 外国人の言葉に優しいの、日本だけじゃないんだね。日本の人は僕が下手な日本語しゃべってても優しかったです。アメリカ人は発音が悪い英語に厳しいんだけど、外国人の英語を励ましてほしいです。

上坂 私たちはマーティさんが日本語をしゃべっているのがうれしいですし、「日本の文化を受け入れてくれてありがとう」と思ってます。

マーティ 僕の日本語は学校で勉強したわけじゃないから、試験を受けたら落ちると思います(笑い)。でも言葉をしゃべれないと文化がちゃんとわからないし、すてきな体験ができないじゃん。

上坂 言葉を知って文化を知るって大事ですね。

マーティ ロシアはなんで興味があったんですか?

上坂 私が生まれた年(1991年)にソビエト連邦がなくなりました。高校生の時にソ連の国歌を聴いて「かっこいい」と思ったのが、ロシアに興味を持ったきっかけです。どこが好きか言葉にするのは難しいんですが、すごくひかれるところがあって…。ロシアの音楽って、哀愁のあるマイナーな曲調が多いんです。ロシア国歌、聴いたことありますか?(スマホ内を探す)

マーティ 携帯電話の中に入ってるの!? 携帯に国歌入れてる人に初めて会いました(笑い)。

上坂 ありました。ソ連時代から曲は同じです。

マーティ 日本で何か政治的な発表をしてる車から歌が流れてるじゃん。あの歌に通じます。

上坂 軍歌のことですね。

マーティ 僕はあの車を見ると「日本にいるじゃん!」と実感します。ハラジュクよりあの車ですよ。

上坂 国歌は気持ちを上げますね。ちょっと待ってください、いまどの軍歌をオススメするか…(スマホ内を探す)。

マーティ 軍歌も入ってるの!?

☆マーティ・フリードマン 米・ワシントン出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍している。「紅蓮花」などをカバーしたアルバム「TOKYO JUKEBOX3」が発売中。伝説の音楽バラエティー「ROCK FUJIYAMA」がユーチューブで復活。

☆うえさか・すみれ 1991年12月19日生まれ。神奈川県出身。上智大学外国語学部ロシア語学科卒。2012年に本格的に声優デビュー。13年にアニメ「波打際のむろみさん」の主題歌「七つの海よりキミの海」で歌手デビュー。ロシア、昭和歌謡、メタルロック、戦車、ロリータ、プロレス、ひげなど多方面の知識を持つ。最新アルバムは「NEO PROPAGANDA」(キングレコード)。

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