この株高でどうしても株を買いたい人へ 初めて買う株の選び方

年明け早々に緊急事態宣言が発令され、2021年も新型コロナウイルスによって飲食店や中小・零細企業が窮地に立たされています。しかし、株式市場に目を向けると、日経平均株価が30年ぶりにバブル期以来の高値を記録するなど、実体経済とは真逆の景色が広がっています。

このようなニュースを見て、株式投資をしたいという声をよく聞きます。今回は初めて株を買う時のポイントを説明していきます。


株式投資をするなら覚えておこう

これから資産運用をしたいという投資未経験者には、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用してインデックスファンド(株価指数に連動するように運用される投資信託)を積み立てていくことをお勧めしています。しかし、そうではなく株式投資をしてみたいんだという方もいます。

私がインデックスファンドの積立投資をお勧めする理由は、色々とお手軽だからです。必要な資金も少なく、企業業績を分析する必要もなく、相場動向を注視する必要もないのです。逆に言えば、株式投資をする場合は少なくともこれらをクリアする必要があるということです。

日本の株に投資する場合、基本的に100株から投資が出来るので、1株1,000円の株に投資をする場合は、1,000円×100株=100,000円が必要になります。1社だけを買うのはリスクが高いので複数の株に投資をしようとすると、それだけでそれなりの金額が必要になります。

企業分析できる?

また、株式投資では企業の業績や競合他社との比較、属する産業の動向、国内外の経済環境などを分析することが重要になります。分析をしたからといって、必ず儲けられるという訳ではありませんが、最低限の分析をすることで不要なリスクは取らずに済みます。
上場企業は現在3,700社以上あります。どの株に投資をすればいいのか選ぶのも大変ということも覚えておいた方がよいでしょう。

色々とネガティブなことを書きましたが、既に株式投資を始め、長く続けている人たちは、この手間のかかることが好きなのです。実は私自身も経済指標や企業業績を分析するのが大好きなので、積立投資よりも株式投資の方が性に合います。

つまり、どちらが良いとか悪いということではなく、それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分にあった方を選びましょうということです。それでも株式投資を始めてみたいという人に向けて、ハードルの低い始め方を教えます。

「よく知っている会社」を選ぶ

まずは難しいことは考えず、知っている会社の株に投資をしてみるといいでしょう。さらに言えば、その会社が好きだったり、その会社が提供している商品やサービスを実際に使っていたりするのがよいかと思います。

私は大学生の時に株式投資を始めましたが、何も分からないながらも心掛けていたのは、「何で儲けているか知らない会社の株は買わない」ということでした。

企業業績の分析が出来なかったとしても、その会社の商品やサービスについて詳しければ、「最近は競合の商品の方が人気あるんだよな」とか、「この間、店舗に行ったら接客のレベルが上がっていた」など、将来の企業業績に直接繋がってきそうな情報に苦も無くアクセスできます。

また、株価というのは一方方向に動き続けることはなく、上下に波を打ちながら動いていきます。そのため、投資した時の株価を現在の株価が下回るということもあるでしょう。その時に、応援している会社の株であれば信じて持ち続けるということも出来ると思います。

低金利時代は配当に注目

株式投資は基本的に、投資をした時よりも高い値段で売ることで利益を儲けるのが基本です。それ以外にも配当というかたちでお金をもらうこともできます。全ての上場企業が配当を出すわけではないですが、多くの会社が利益の一部を投資家に配当というかたちで還元します。

配当を出す会社の株を選ぶ際によく使う指標が「配当利回り」です。計算式は以
下のもので、非常にシンプルです。

配当利回り = 配当 ÷ 株価 × 100

つまり、株価が1株1,000円の会社が1株あたり50円の配当を出す場合、50÷1,000で配当利回りは5%となります。現在は超低金利時代ですから、メガバンクに預金しても1年間で0.001%しか金利がつきません。それを考えると5%という数字は非常に魅力的ですね。

しかし、美味しい話ばかりではありません。企業の業績が下がれば、配当金の額を下げられてしまうこともありますし、最悪の場合は配当金を出さなくなる場合もあります。

さらに言うと、株価が大きく下落すれば、配当金をもらっても焼け石に水ということになります。そういう意味では、配当利回りだけを見て投資をするのではなく、多少なりとも企業の業績は分析しておかないと、痛い目を見ることになるでしょう。

株主優待も楽しめるポイント

最後に株主優待という楽しみも紹介しましょう。株主優待とは、その企業が提供している商品や、お食事券などを会社が送ってきてくれる制度です。配当金と同じく、全ての上場企業に株主優待制度があるわけではないですが、最近では株主優待から投資する会社を選べるウェブサイトもあります。

まずはそのようなサイトを見てみるといいでしょう。配当利回りの概念と同様に、優待利回りという言葉も使われています。投資に必要な金額に対して、株主優待でもらえる商品の価値がどれぐらいになるのかというお得感で選ぶ人もいれば、よく行くお店で使える割引券がもらえるから投資をするという人もいます。

もちろん、配当と一緒で、株主優待の内容が変わったり、廃止になったりすることもあるので注意しましょう。

さて、注意点も含め、株式投資を始めるきっかけになりうるいくつかのポイントを紹介しました。何事もまずはやってみるというのが、一番早く成長する方法だと思います。無理のない範囲で出来るだけ小額から、試しに株式投資を始めてみることがいいでしょう。

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