コロナ禍で大手企業を脱サラ 54歳で俳優に転身した山田直樹とは?

脱サラ役者の山田

コロナ禍で通勤から解放され、在宅勤務になり、自己を見つめ直して、生き方を変える人も増えている。そんな中、一流企業を退職して、「こぐれ発声教室」に入門した山田直樹という55歳の新人俳優がいる。

「劇団☆新感線」を旗揚げしたこぐれ修氏は、フェイスブックにこうつづった。

「1時間の発声技術を学び、もの凄く晴れやかな顔をしていらしたので『もの凄く楽しいでしょう?』と聞いて見ました!『はい!最高です!!』と、即答。聞いたこちらもとても幸せな気分になりました。人生1度切り。やっぱり悔いなく終えたいものです」

昨年までキリンビールの管理職だった山田は、ソムリエ、焼酎アドバイザーなどを取得し、東京、金沢、大阪、神戸で担当部長として活躍。しかし、コロナ禍で社内体制にも大きな変化の兆しが出てきた。

「どうせプライドを捨てるなら新世界で覚悟を決めて情熱を注ごう」と決意した山田は、54歳で早期退職優遇制度を利用して、俳優に転身した。周囲は好意的だった。

「親族一同、友人知人が『コロナ禍でつまらない時に楽しい報告をありがとう!』と、面白がってくれました」

サザンオールスターズのトリビュートバンド「麻生恋次郎バンド」を20年間継続する山田は、身長183センチのイケメンで元々芸能界志望だった。

「他界した父親は画家で、苦労を支えた母親の強い要望で、私は大学卒業後にサラリーマンとなりました」

息子は独立し、今は退職金を切り崩しながら、夢にまい進する夫を妻も応援している。

山田は「人に楽しんでもらうことが自分の喜びです。とにかく楽しんでもらえる俳優になりたいです。目標とする俳優は、世界観がありながらも時折お茶目な演技もできる俳優。西田敏行さん、中井貴一さん、故松田優作さんです」と語る。

今はエキストラとして、現場に入り、観客、東京消防庁、劇場支配人、新聞記者、居酒屋の客などを演じているという。

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