JOC山下会長 五輪開催に逆風も「アスリートの思いは責められるべきではない」

山下泰裕JOC会長

日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)が9日、都内で会見を開き、新型コロナウイルス禍で開催が不透明な東京五輪について「アスリートが成果を発揮する場が欲しいと思うことは責められるべきではない」と語った。

5か月後に迫った五輪はコロナ対策の課題や大会組織委の森喜朗会長(83)の女性蔑視発言などで逆風が吹いているが、山下会長は「現時点で開催に否定的な意見や不安の声があることは自然なこと」としつつも「開催するか、しないかの議論ではなく、どうしたら安心安全な大会を開けるか。このことについて関係者が一丸となって議論をしているところ」と、改めて開催に向けて意欲を示した。

だが、新型コロナの終息が見通せない現状や開催を快く思わない世論に、山下会長は「アスリートからこういう状況で大会を望むことそのものが身勝手なのではないかという葛藤の声も聞いている」という。

それでも「アスリートが感染対策に十分留意しながら大会に向けてトレーニングを続けたいと思うのは当然で、これまでの成果を発揮する場が欲しいと思うこと自体は一切責められるべきではないと考えている」と述べた。

大会が1年延期になったことで、東日本大震災から10年という節目の年と重なった。山下会長は「震災直後もスポーツについてはさまざまな議論がなされ、そのときもスポーツが、今、自分ができることあるのかと悩んだアスリートも多いはず」。続けて「あれから10年という年に実施される東京大会において、改めてスポーツが持つ力が社会に何をもたらせるのか。これを伝えていきたい」とアピールした。

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