日経平均は2万9000円台を回復!世界景気とワクチンから考える今後の展開

年明け以降の世界の株式相場は騰勢が強まりましたが、1月の月末にかけて米国株式市場の混乱が波及、日本株市場も調整色が強まり、日経平均株価は25日移動平均線を割り込む場面もありました。

政府は2月2日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、11都府県に発令中の緊急事態宣言について、栃木県以外の10都府県で3月7日まで延長しました。しかし、相場の基調が大きく崩れることなさそうです。

昨年11月以降の急ピッチの上昇も反動もあり、しばらくはボラティリティーの高まる場面もありそうです。一方で、世界的な金融緩和の継続と世界経済の回復見通しを背景に相場は強い地合いが続くと予想されます。

<写真:つのだよしお/アフロ>


世界景気を示す指数は上昇

ところで、OECD(経済協力開発機構)は毎月、加盟各国などの景気先行指数を発表しています。このOECD景気先行指数は世界景気の転換点を探る指標として重要視されており、各国の国内総生産(GDP)などより6カ月程度先行する傾向があるとされています。

OECD加盟国全体の景気先行指数は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な景気減速から2020年3月、4月と大きく落ち込みましたが、4月を底に回復に転じました。

2000年以降、OECD景気先行指数が底入れからピークを付ける上昇局面は、今回の上昇局面を除いて4回あります。4回の平均上昇期間は28.2カ月です。

日本株の上昇の余地は大きい?

また、世界の景気敏感株といわれる日本株はOECD景気先行指数との連動性が見られ、4回の上昇局面における日経平均株価の平均上昇率は67.3%で、最高上昇率は2003年4月~2007年6月までの127.5%です。

今回は、2020年4月の底入れから2021年1月で9カ月が経過し、日経平均株価の上昇率は37.0%にしか過ぎず、上値余地は大きそうです。

国内の投資主体別売買動向をみると、OECD加盟国全体の景気先行指数の上昇局面4回ともに海外投資家による買い越しがみられます。世界景気の回復が続くようならば、海外投資家による日本株買いをけん引役として日経平均株価の上昇が続くことになるのかもしれません。

2021年の世界経済の成長率はプラス転換へ

国際通貨基金(IMF)は1月26日、2021年の世界経済の成長率見通しを上方修正しました。2021年はプラス5.5%と、前回見通し5.2%から成長率が加速するとの見立てです。

一部の国で昨年12月に新型コロナウイルスワクチンの接種が始まったことで、今年の下期にかけて回復に弾みがつくとの見方です。

ワクチン普及が世界経済の回復の決め手か

ワクチン接種が本格化する中、各国ごとに普及状況に差が見られます。

Our World in Dataによれば、2月2日時点で、人口100人当たりに投与されたワクチン接種の総数は、イスラエルが58.83人と世界最速で、その次にUAE(アラブ首長国連邦)が34.79人、英国14.94人と続き、米国では同9.80人となっています。

日本の対応は遅れていいますが、今後有効性、安全性を確認した上で、2月中旬に接種をスタートすべく準備を進めています。当初は医療関係者から始め、高齢者については4月から接種を進めるようです。

国内外でワクチン接種が進めば、経済活動に弾みがつくことも想定され、世界経済には好ましいといえそうです。

<文:投資情報部 大塚俊一>

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