交通システム構築へ覚書 新上五島町・トヨタ・県 夏にも実証実験開始

 長崎県新上五島町は9日、トヨタ自動車、県と情報通信技術(ICT)を活用した交通システム構築のため、町内で実証実験をする覚書を締結したと発表した。買い物弱者支援など地域の課題解決を図る。同社が自治体と協力し、こうした実験をするのは県内で初めて。
 同町によると、人口減少や少子高齢化でバス路線の維持が難しく、町が赤字補塡(ほてん)している。同社が解決に向けた協力ができる地域を調べる中、同町を知り打診した。ICTを活用した交通システム構築で、住民の利便性を向上させ、町の財政負担を軽減することを目的に実証実験に取り組む。同社にとっては、地方の交通や医療の課題について情報を得られるメリットがある。締結期間は2023年3月31日まで。実験開始は今年7月を目指しているという。
 町は今後、住民のニーズを調査。同社の技術を活用し、スマートフォンアプリや電話を使ったタクシー予約のシステム構築などを進める予定。県は町外の事例に基づき助言し、実験の成果が他地域でも展開できるかを検討する。
 町総合政策課は「地域の実情に即した公共サービス提供につなげたい」としている。

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