継承掲げ一騎打ちか? 前市長急逝の天草市長選 独自カラーに知恵絞る

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天草市役所に掲げられた市長選と市議補選を知らせる懸垂幕=同市

 中村五木市長の死去に伴い、14日に告示される熊本県の天草市長選。これまで元市議の池田裕之氏(69)=河浦町=と、会社社長の馬場昭治氏(52)=本渡町=の無所属新人2人が立候補を表明しており、一騎打ちの公算が大きい。中村氏の大みそかの急逝による、誰も予期しなかった選挙戦。両者ともに中村氏が築いてきた市政の継承を基本としながらも、短期間で独自カラーを出そうと知恵を絞る。

 中村氏は旧牛深市議と天草市議を経て、2014年の市長選で初当選。18年に再選を果たした。表明はしていなかったものの、任期満了に伴う22年の選挙で3期目に挑むとの見方が強かった。

 「国、県との太いパイプを通じて築いてきた中村市政に失策はなかった」など、市議らに行政手腕を高く評価された中村氏。突然の訃報に正統な後継者として金子邦彦副市長の待望論が浮上し、市議会6会派のうち4会派が連名で出馬を要請した。しかし、金子氏は「中村市長あっての副市長職だ」などとして固辞した。

 そんな中、いち早く1月6日に市議を辞職し出馬を表明したのが池田氏。池田氏は合併前の旧河浦町長。「中村氏は市議時代、同じ天政会(市議会の会派)だった同志だ」と訴え、同会系の市議6人が全面支援。地元後援会がフル稼働している。

 一方の馬場氏は、有線テレビの天草ケーブルネットワーク(ACN)社長で、本業は鋼材販売会社経営。ACN社長就任前から町づくり活動を展開し、ともに活動した若手の経営者らが積極的に応援する。金子副市長を擁立しようとした市議の多くも支援する。

 「中村市長の急逝という緊急事態。ともに市政の批判はできないのでは」という声が市民から上がる中、立候補予定の2氏はともに、中村市政へのマイナス評価を封印。「中村氏が進めてきた事業を継承しながら発展させる」(池田氏)、「歴代市長が築いてきた歩みを止めず、経営者目線で市政に取り組む」(馬場氏)との立場で、公約を練る。

 一方、2氏には、保守系の有権者から疑問視される経歴がある。池田氏は昨年3月の県知事選で、落選した幸山政史氏を支援した。馬場氏は矢上雅義衆院議員(立憲民主)が新進党と自民党所属の衆議院議員だった約4年半、公設秘書を務めていた。

 中村氏は自民党の金子恭之衆院議員の天草の後援会長を務めていたが、馬場氏は「これまで同様、天草は金子氏に支えてもらいたい。当選できて、依頼があれば後援会長は引き受けたい」と話す。

 池田氏の市議辞職に伴う市議補選(定数1)には、元市市民生活部長の小川圭三氏(60)=河浦町=、元市議の鎗光秀孝氏(66)=五和町=、共産党天草地区委員長の蓑田庸子氏(69)=新和町=の3氏が立候補を予定している。

 海に囲まれ、面積が約683キロ平方メートルと県内最大の天草市。2市8町による合併から15年がたち、人口減少率など地域間格差も目立つ。均衡ある発展が重要課題となる中での急転直下の選挙戦。市民の判断が注目される。(赤池一光)