上陸ワクチンの〝信頼度〟効き目は?副反応は?供給量は?

ワクチンの効果は…(ロイター)

米ファイザーの新型コロナウイルスワクチンが15日、日本でも承認される見込みだ。だが、昨年新型コロナの影響で世界的にマスク不足が問題となったように、今はワクチンが世界的に不足している状態だという。日本でも供給や接種される人数の減少が想定されるなど、ワクチンの供給をめぐって様々な課題が浮き彫りとなっている。果たして日本にはどれぐらいのワクチンが入ってくるのか。ワクチンの効果や副反応を専門家に聞いてみると…。

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は9日、会合を開いて、新型コロナウイルスのワクチン接種の優先順位を決定した。医療従事者を最優先とし、65歳以上の高齢者に続いて、基礎疾患がある人と高齢者施設の従事者から始める。

また、田村憲久厚生労働相は9日の衆院予算委員会で、ファイザーのワクチンについて、政府が契約した7200万人分の接種ができなくなる可能性に言及した。ワクチンは1瓶当たりで6回取れる特殊な注射器の使用を前提としていたが、その注射器が米国で不足しており、現時点では十分に確保できない見通しだ。

田村氏は「医療機器メーカーに増産をお願いしている」とする一方、地方自治体向けの手引は5回に減らして案内すると説明した。

これに公明党の大口善徳氏は、1瓶当たり5回を前提にすると政府の契約量は6000万人分に減るとして、7200万人分が「確保されるべきだ」と指摘。田村氏は「日本で使われている注射器だと5回分しか取れない。6回分打てる注射器を集まった分使うが、回数が増えると当然足りなくなる。早急に手引を出して示したい」と述べた。

ワクチンは15日に承認される予定だが、世界全体で見ると日本への供給は遅れている。

防災・危機管理アドバイザーであり、医学博士の古本尚樹氏は「ワクチンを供給しているアストラゼネカがあるイギリスやファイザーがあるアメリカは、自国の人たちでさえ供給が遅れている。そのため、自分たちの国ではない日本にワクチンが早く届くわけがないし増えるはずがない」と指摘する。

日本政府はまるで契約したからすぐにワクチンが来るかのように言っているがそうではないようだ。

昨年1月にEUを離脱した英国は、同年12月31日に離脱への移行期間が終わり、EUから完全に離れた。両者は新たな自由貿易協定を結んだが、EU圏外となった英国を巡る貿易は手続きが煩雑になった。

「その関係で今はイギリスの物流が混乱している。ワクチンも物流(が混乱した状況)の中で海外へ輸出されるので、その関係上、全体的にワクチンの供給に遅れが出るのは間違いない。日本ですべての人が2回、ワクチンを受けられるようになるには1年はかかるのではないか」(同)

ワクチンは副反応についても個人差があり、痛みや倦怠感、頭痛などの症状が出る場合がある。

これについて古本氏は「副反応は日本にワクチンが入ってきてから、実際に打ってみないと分からない。また、今回のワクチンは第1波や第2波のころに流行した新型コロナウイルスに効くように作られているため、変異したウイルスにどれぐらい効くのかは分からない」と言う。

未体験のものは怖いといったイメージがあり、ワクチンの接種に抵抗があるという人も多い。だが、古本氏は「治療薬が確立されて利用できるようになるころには、おそらくコロナの流行は収まっていると思う。これまでの感染症の国際的な過去の事例・日本の事例を見ても、治療薬を待っているよりもワクチンを使う方が流行を抑えることができている。治療するよりウイルスを予防する方が効果的だろう。今後は、より効果のあるワクチンが重要になってくる」と話す。

人間と疫病の戦いの歴史を振り返ると、ワクチンは必須というわけだ。しかし、イギリスや南アフリカでそれぞれ変異株が見つかり、世界に広がっているように、ワクチンが供給されても国内に明るい兆しが見えるかは不透明だ。

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