SUNDRED主催、6社共同「Take Off Anywhereプロジェクト」発足を発表

SUNDRED、ACSL、センシンロボティクス、理経、PHB Design、VFRは2021年2月9日、ドローン技術を確実に社会実装することを目指し、6社共同で「Take Off Anywhereプロジェクト」を発足したことを発表した。今後は新産業創造を目指して、企業や自治体などからも幅広く協賛パートナーを募るという。

ドローンの社会実装を進めることを目的に、ディスカッションを重ねてきたACSL、センシンロボティクス、VFRの3社が企業の垣根を超えたプロジェクトの発足を決定し、その過程で100個の新産業共創を目指すSUNDREDがパートナーに加わったという。さらに、VR空間生成技術を開発し自動車メーカーでも技術採用が進む理経、在宅医療支援薬局を推進する薬局の業務・教育・IT化支援を行ってきたPHB Designが加わり、同プロジェクト発足を発表するに至った。

左から理経猪坂氏、ACSL鷲谷氏、SUNDRED留目氏、VFR湯浅氏、センシンロボティクス北村氏

発表会当日は、SUNDRED代表取締役の留目真伸氏がプロジェクト発足の趣旨、ACSL代表取締役社長兼COOの鷲谷聡之氏がプロジェクトの目的、同プロジェクトリーダーであるVFR執行役員(COO)の湯浅浩一郎氏が「Take Off Anywhere」の構想について、それぞれ説明した。

留目氏:インターネットがあらゆるものがつながり、IoTでオンラインとオフラインもつながる時代、個社の努力だけでは大きな事業は作れない。対話を通じて目的を共に創り上げ、新しい産業を共創していくという、新しいやり方が求められている。そのようななか、ドローンという産業領域において、目的とエコシステムを共創するプロジェクトが生まれた。

鷲谷氏:労働力の減少と、インフラ老朽化、物流の増加、防災や災害対応など、いま人のデマンドと実際にサプライが壊れかけている。数あるロボティクスの中でも唯一、三次元空間を飛行できるのがドローンの技術。法整備が整いつつあるいまこそ、同じ目的に向かって新産業を共創する必要がある。

湯浅氏:人生100年時代に、人々を幸せにするドローンづくり。それが、Take off Anywhereプロジェクト。誰でも、どこでも、ドローンが必要なときに使用できる世界を我々は構築していきたいと考えているが、これを実現するために、また日本で国産ドローンを浸透させるためには、アプリケーションのドメインの企業が参画して一緒に作っていかなければならない。

左からVFR湯浅氏、SUNDRED留目氏、ACSL鷲谷氏

6社は、参画企業それぞれの独自の強みを生かし協業していくことで、ドローンを社会実装するための課題に関する知見をしっかりとパブリックに発信し、必要な技術開発も推進していくことを目指す。最終的には、このTake off Anywhereプロジェクトを通じて、ドローンを生活の一部にしていくための社会構造基盤の整備やドローンの量産体制構築を進め、「誰もが、どこでも、必要なときに、ドローンを使用できる世界」の早期実現を図るという。

Take Off Anywhereプロジェクト
具体的な取組も加速、協賛を呼びかける
左からACSL鷲谷氏、センシンロボティクス北村氏、理経猪坂氏

発表会当日は「完全無人化」などをテーマとして、パネルディスカッションも行われた。登壇したのは、センシンロボティクス代表取締役社長の北村卓也氏、理経代表取締役社長の猪坂哲氏。モデレーターはACSLの鷲谷氏が務めた。

北村氏:ドローンの全自動運用、無人化は、技術的には実現レベルに近づき、法規制も2022年の目処が立ってきた。社会実装における最大のハードルは、社会受容性の向上。怖い、安全性やプライバシー侵害が不安などを、どのようにエビデンスを用いて緩和していくかが肝になると思っている。

猪坂氏:自動運転車の開発で、現実と同等の仮想空間を構築して、その中でシミュレーションデータを活用する取り組みを行ってきた。結果的には、1日走行して取得していたデータが約30分で取得できるようになったと好評だった。この技術を応用すれば、車とドローンでは空間の広がりが若干違うが、ドローンの完全無人化も実現できるものだと思っている。

実環境と酷似した素材や障害物を使って、ドローンの取得映像も仮想空間に作り出せる、このような技術に関して北村氏は、「仮想空間での体験を通じて、こういうことにも使えそうだなどのインサイトを引き出せる。いろいろと活用できそうだ」と期待を滲ませた。

また鷲谷氏も、機体開発における仮想空間の有用性を指摘。「実環境に行かずにほとんどの技術検証を終えることができ、最終テストのみリアルの現場で行うなど、取り組み方そのものを根本的に変える可能性のある技術だ」と話した。

そして、3次元空間に詳しい企業、都市部のデジタルデータに詳しい企業、通信や映像などの要素技術に長けた企業、などと具体例を挙げて、新産業共創への参加を募った。同時に、自治体と民間との連携の重要性にも言及し、「ドローンの社会実装、必要な技術開発、実証実験、市民の認識の醸成を日本全国で加速できれば」と自治体の参加も呼びかけた。

PHB Design狭間氏

PHB Design代表取締役社長の狭間研至氏はビデオレターで登壇。「いまやコンビニよりも多くなった薬局は、年間9000万回、薬剤師さんが薬のデリバリーなど物を届けている」という現状について共有し、「新型コロナウイルスの感染拡大も伴って、遠隔診療や遠隔服薬指導が時限的特例的に許され、いまこれは恒久化の流れになっている。ドローンを活用した薬の運搬方法のバージョンアップを、ぜひ在宅医療にも生かしたい」と、ドローン配送実用化への期待を寄せた。

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