コロナ禍の冬、教室での防寒は? 秦野と横浜の学校に聞いてみた

コロナ対策で、体育館の窓は開放されていた=秦野市立本町中

 「コロナ禍で換気のために窓を開けて寒いのに、防寒着の着用が認められない」という中学校での問題を追った西日本新聞の記事を、ネットニュースで見たという神奈川県秦野市在住の小学生の子を持つ母親から、「秦野や県内の中学校ではどんな対応をしているのでしょうか。入学後が心配です」という投稿が「追う!マイ・カナガワ」取材班に届いた。朝の登校時や授業中の寒さは今がピーク。秦野と横浜の状況を調べた。

◆神奈川唯一の盆地「悩みはむしろ夏」

 記者は秦野市立本町中学校に行ってみた。靴をスリッパに履き替え廊下を歩くと、足元から冷気を感じる。小山田幸弘校長に読者の質問を伝えると「大丈夫です。換気中に寒いと思ったら遠慮なく着てください」と即答した。

 同校では授業中は窓を開けず、合間の10分の休み時間に開放。その間は温度が下がってしまうが、防寒着を着る生徒はいないという。生徒の一人は「朝の換気が一日で一番寒い。制服の内側にジャージーを着られるが、動きにくいので、足にブランケットを掛けたりしている」と話す。

 むしろ、悩みの種は夏場という。換気で冷気が放出されると、教室が換気前の室温に戻るにはかなりの時間を要する。校長は「冬は着込めば寒さはしのげるけど、夏の対策は難しい」と打ち明けた。

 同市の佐藤直樹教育長も「安心してください」と話す。県内唯一の盆地を抱えて寒暖差が大きく、朝晩の寒さが厳しい同市では、市立中9校の教室はいずれも冷暖房が完備されている。

 市では昨年5月、教育現場向けの新型コロナ対応のガイドラインを定めた。「国や県の指針は秦野に適しているかどうか。現場が困る内容もあったので」と教育長。改訂を7回重ね、換気前は室温を高くし、空気を入れ替えても寒くならないようにするなど現状に合わせた対応に変えてきた。

◆「柔軟に対応」授業中、コート着用も

 横浜市もガイドラインを随時改訂、換気や防寒対策を学校に周知している。

 換気は▽可能な限り、常時換気▽常時換気が難しい場合は30分に1回以上数分間程度、窓を全開▽授業後は、窓・ドアを開放─などと記載し、具体的な対応は「各学校で判断」(市の担当者)としている。防寒対策も現場に判断を委ねるが、室温低下で健康被害が生じないよう「衣服の着用は柔軟に対応」と求める。

 市立高田中学校(港北区)では、授業中は廊下側の扉の上部の小窓2カ所を10センチほど、扉をわずかに開ける。通常の倍の台数の換気扇を取り付け、常時稼働するなど工夫している。休み時間は大半の窓を全開に。教室の暖房の温度を例年の19度よりも高く設定しているという。

 同校では休校期間を終えた昨年6月、登下校や授業中の服装を通常のブレザーではなく体操着に変更。「制服よりも頻繁に洗濯しやすく、衛生対策になるため」(横田由美子校長)とし、冬場も継続している。

 体操着下の服装は自由で、授業中のコート類着用も可だ。校長は「子どもたちの健康が第一。一人一人の自主性を大切に今後も対策に当たりたい」と話した。

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