田中将大復帰でシーズンシートの売上10倍! 営業は嬉しい悲鳴「システム障害かと」

2013年以来の古巣復帰となった楽天・田中将大【写真:荒川祐史】

「一瞬、システム障害かと思ったほどの売上」

田中将大投手の8年ぶりの楽天復帰は、コロナ禍による減収に頭を抱えていた球団の営業サイドにとって“救いの神”になりそうだ。1月30日に都内で行われた復帰会見以降、シーズンシートの売上が急上昇し、完売間近となるなど、早くも想像を超えるマー君効果が現れている。【宮脇広久】

NPB各球団は昨季、開幕延期、その後も無観客での開催、入場制限を余儀なくされ、観戦チケットや年間シーズンシートの払い戻し作業に追われた。3月26日開幕が予定されている今季も、入場制限緩和の見通しは立たず、楽天は年間シートの販売を見送り、本拠地・楽天生命パーク宮城での主催試合を半分ずつ振り分け「ハーフシーズンシート」として発売。前期・後期の区分ではなく、週末・平日も偏らないように試合を分け、2通りの日程を用意している。

球団によると、田中将の入団発表以前の3か月で、シーズンシートへの問い合わせは150件だったが、入団発表後の5日間に同じ150件の問い合わせが殺到。実際に復帰会見後だけで200席以上が売れ、通常の10倍の売れ行きだという。

10日にオンラインで取材に応じた球団営業本部チケットセールス部の村嶋大部長は「当初は昨季に引き続いてコロナ禍の影響もあり、どこまで効果があるかなと思っていましたが、率直に言って、想定以上に田中選手の効果が現れていると思います」と明かした。

1月30日の復帰会見から10日間でユニホーム約5000枚、約7000万円の売り上げに【写真:荒川祐史】

グッズは「2013年の初優勝時と同じくらいの勢いで売れている」

選手ユニホームはオンラインショップで、田中将の復帰会見が行われた1月30日から2月8日までの10日間に、昨年同時期比2.5倍の約5000枚、同3.9倍の7000万円を売り上げた。応援タオルなどの販売も好調で、球団事業本部MD・コンセッション部の渡辺誉志部長は「2013年に初のリーグ優勝を決めた際に(記念グッズが)どどっと売れた時と同じくらいの勢いで売れています」と驚いている。

例年1月末に入会手続きを締め切るファンクラブ「TEAM EAGLES」も、700人にとどまる見通しだったが、田中将の復帰が決定的との報道が出始めた1月27日以降、新規入会者1000人が殺到。退会と見られていた会員からも500人が継続手続きを行った。

球団マーケティング本部マーケティング部の一ノ瀬玲奈部長は「一瞬、システム障害かと思ったほどの売上でした」と仰天。さらに「未発表ですが、田中選手の個人ファンクラブを作りたいと考えていて、2月中に発表できればと考えています。楽天で個人にフィーチャーしたファンクラブは、選手では過去に例がなく、監督時代の星野仙一さんの『1001クラブ』以来。これほどのインパクト、お客様のウエルカムバックな感じを形にしたいと思います」と構想が膨らんでいる。

早くも想像を絶する効果を球団にもたらしている田中将。試合で1球も投げないうちから、年俸9億円プラス出来高(金額は推定)は決して高くないというムードが漂い始めた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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