【新日本】2冠V2・飯伏に内藤がICだけの“謎の挑戦”を表明

試合後、内藤(左)からの不可解な挑戦表明を受諾した

2冠戦線に異常アリだ。新日本プロレスの広島2連戦2日目(11日、広島サンプラザホール)、IWGPヘビー級&インターコンチネンタル(IC)2冠王者の飯伏幸太(38)がSANADA(33)の挑戦を退け2度目の防衛に成功。次期挑戦者には内藤哲也(38)が名乗りを上げたが、「2冠統一阻止」を目的になんとIC王座単体への挑戦を表明したのだ。飯伏は“1冠戦”を受諾する一方で、意表を突いた前2冠王者の手法には疑問を投げかけた。

SANADAの猛攻に苦戦を強いられた飯伏だったが、ラウンディングボディープレスをヒザで迎撃し決定打を許さない。カミゴェをカウント2で返されると、ニーパッドを外して一気に勝負に出た。粘る挑戦者の丸め込み技攻勢もしのぎ、ジャンピングニーからのカミゴェで激闘に終止符を打った。

試合後のリング上には、1月4日東京ドーム大会で2本のベルトを奪った相手、内藤が登場。「つい1か月前に完璧に3カウントを取られたわけで、またその2本のベルトに挑戦させろなんて言わないよ。2本ではなく、1本。その白いベルトに挑戦させてもらおうか。挑戦したい理由は簡単。2本のベルトを1本に統一したいというプランに反対だからだ」と提案した。

これに飯伏は「(賛成の)拍手が多いみたいだから、やろうよ。俺はいつでもいいよ」と受諾。次のビッグマッチとなる大阪城ホール大会(27、28日)で2冠戦ではなくIC王座のみの防衛戦が確実となった。

前王者とのリマッチはベルト一本化の野望を掲げる飯伏と、その阻止に立ち上がった内藤によるイデオロギー闘争の様相を呈している。そんな中、大会後に本紙の取材に応じた飯伏は、内藤がICをチョイスしたことへの疑問を口にした。

ICに思い入れがある自身とは違い、内藤には2017年のIC王者時代にベルトを破壊した過去すらある。どちらか片方を選ぶなら業界最高峰ベルトとして長い歴史を誇り、かつて内藤もあこがれたIWGP王座の方が自然に見えるからだ。

「なぜICだけ欲しいのか、よく分からない。今まで一度も(内藤は)『ICだけが欲しい』なんて言ったことないはずなんですよ」

理由については内藤本人の言葉を待つしかないが、異例の挑戦が実現することで結果的には負けられない理由が増えた。統一阻止が目的なら、両王座を別々に分ける方法は他にいくらでもある。2本のベルトを取った上で片方を返上、もしくは封印すればいいだけの話だ。

飯伏は「じゃあもう、2冠はやりたくないってことですかね? やりたいことがなくなってしまったんですかね? だとしたら今の自分にはまだこの2つのベルトが必要です。2冠の先の先を見ているから」ときっぱり。史上初の2冠王者となったことですでに目標達成済みの制御不能男にベルトを奪われるわけにはいかない。

「1つにした方が絶対にいいベルトになる。もっともっと価値を上げていけると思うんで」と改めて信念を示した2冠王者。統一か、それとも分離か。大阪城決戦は、両ベルトの運命がかかった大一番となりそうだ。

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