コロナ対応の「春節」 横浜中華街でランタン展示、動画配信も

春節の横浜中華街を明るく照らしたランタンオブジェ=横浜市中区

 中華圏の旧正月「春節」を迎えた12日、横浜中華街(横浜市中区)では新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、今年は獅子舞など恒例の集客イベントが中止となった。春節行事を主催する「横浜中華街発展会協同組合」は、代わりに色彩豊かなランタン(中国提灯)を展示。13日にも動画配信を始める予定で、新たな生活様式での楽しみ方を提案している。

 例年、春節を迎えると爆竹や太鼓の音が鳴り響き、中華街は祝賀ムード一色に。中国の伝統的な獅子舞「採青(ツァイチン)」や龍舞、皇帝衣装のパレードなどが行われ、大勢の観光客らでにぎわう。

 しかし同組合で組織する春節実行委員会は昨年5月の段階で、大規模な集客イベントを実施しないことを決定。感染拡大防止のためには、大勢の人に来てもらうことは避けなければならないとの判断だった。

 35回目となる今年、初の試みとして始めたのが「ランタンオブジェパビリオン」。中華街の一角にある山下町公園に、「西遊記」にちなんだ15灯のランタンがお目見えした。

 天竺への旅をする三蔵法師一行が目指した「雷音寺」、中国の伝統芸能・京劇で使用されるお面をモチーフにした3面オブジェなど、中国の職人が中華街のために作ったという。大きなものは高さが5メートルあり、夕方から夜にかけて幻想的な雰囲気を醸し出す。それぞれのランタンのQRコードをスマートフォンで読み取ると、音声ガイドが聴ける仕組みとなっている。

 同組合の高橋伸昌理事長(61)は「人を集めない方法を、と考える中で生まれた企画。遠方で来られない人は動画で楽しんでもらいたい」、今年の春節実行委員長・陣恵(42)さんは「来年以降も継続し、中華街以外の場所にも展示するなど、横浜のお祭りとして盛り上げていければ」と話している。点灯は26日までの午後4~8時。

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