高校生に読んでもらいたい一冊 埼玉の高校司書が選ぶイチオシ本発表 1位は直木賞候補作家の作品

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作家の伊吹有喜さん(前列左)と木下通子さん(同右)ら実行委員会のメンバー(文芸春秋提供)

 「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2020」が12日、発表された。高校生たちに本を読んでもらいたいと、本の専門家たちが選び抜いたベストテンで、担当者は「生きていくための力になる」としている。1位は20年上半期の直木賞候補となった作家伊吹有喜さんの「雲を紡ぐ」(文芸春秋)だった。

 19年11月~20年10月に出版された本を対象に、県内の司書・専任司書教諭121人が、ポイントを付けてそれぞれ3冊を選んで投票。195タイトルの応募があり、ポイント数で順位を決定した。

 1位の「雲を紡ぐ」は、人間関係の悪化で学校に行けなくなった女子高校生と、その家族が再生する物語。投票者は「主人公も、主人公をとりまく人たちも皆悩んでいる。その悩みをゆっくりと、それぞれのペースで夢や希望に変えていく様子が実に清々しい」と評している。

 「イチオシ本」のパンフレットも作成。池上彰さんや伊坂幸太郎さんら10位までの作者らからのコメントや、惜しくもベストテンに入らなかった11位の「少年と犬」(馳星周著・文芸春秋)なども記載されている。

 伊吹さんは「このたびは『イチオシ本』に選出していただき、とても光栄です。『雲を紡ぐ』は高校2年生の美緒が『自分とは何か』を探していく物語です。本の扉を開けて、美緒の心の旅をご一緒していただけたらとても嬉(うれ)しいです」とメッセージを寄せている。

 企画の立ち上げから参加している県立浦和第一女子高校図書館担当部長兼主任司書の木下通子さん(56)は「小説だけでなく、生きていくための力になるベストテンになっている。ぜひあなたの学校の図書館や近くの書店で手に取ってください」と高校生たちに呼び掛けている。

 13日からイチオシ本フェアが、県内の53書店、89公共図書館で始まる予定。書店は販売コーナーを設け、図書館はパンフレットを配置する。詳細は埼玉県高校図書館フェスティバルのホームページに掲載している。

<イチオシ本2020ベストテン>

(1)「雲を紡ぐ」(伊吹有喜著・文芸春秋) (2)「なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと」(池上彰監修・学研プラス) (3)「水を縫う」(寺地はるな 著・集英社) (4)「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎著・集英社) (5)「おとめ六法」(上谷さくら、岸本学著・KADOKAWA) (6)「晴れ、時々くらげを呼ぶ」(鯨井あめ著・講談社) (7)「わたしの美しい庭」(凪良ゆう著・ポプラ社) (8)「仕事本 わたしたちの緊急事態日記」(左右社編集部編・左右社) (9)「10代から知っておきたい あなたを閉じこめる『ずるい言葉』」(森山至貴著・WAVE出版) (10)「夜明けのすべて」(瀬尾まいこ著・水鈴社)

埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2020