古い空き家で共同生活の男女5人に退去勧告 人と共に生きることの意味問う 短編映画「stay」公開決定

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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の短編部門で優秀作品賞を受賞した映画「stay」が、4月23日に劇場公開されることが決まった。あわせて特報も公開とされた。

「stay」で描かれるのは、持ち主のいない古い空き家で共同生活を送っている男女5人と退去勧告に来た役所の男・矢島。リーダー格の男のペースに巻き込まれた矢島は、その家で一晩を明かすことになる。素性も知れない人々にとって、山奥にたたずむ一軒の古民家は誰でも出入りができて誰の場所でもない「自由」な家だったが、わずかなズレが、気遣いとなり、役割となり、ストレスとなり、やがて「不自由」へとつながっていく。「人と共に生きる」ことの意味を問う作品となっている。

監督を務めるのは、初劇場公開作となる藤田直哉。脚本は、山本政志監督作「脳天パラダイス」を手掛けた金子鈴幸が担当している。東京国際映画祭正式出品作「あの日々の話」の山科圭太が主演し、躊躇なく意見を言うマキを、上田慎一郎らが監督した「イソップの思うツボ」や東京国際映画祭正式出品作「猿楽町で会いましょう」に主演した石川瑠華が演じている。

特報では、役所から派遣されて退去勧告に来た矢島の姿、「前にも何人も来たけど、結局追い出せてないから」というマキの言葉、少しずつストレスが高まっていく空気などが描かれている。

公開決定に監督の藤田は「コロナ禍を迎えて、他者との関係性や距離が制約され、新たな関係作りを模索している今だからこそ、観てほしい作品です」とコメントしている。

■監督:藤田直哉 コメント
この映画は、友人が購入し、廃屋になりかけていた状態から修繕や改装を重ねていた一軒の古民家に出会ったことで生まれた映画です。
この家に初めて入ったときの不思議な印象を、映像を通して伝えたいという気持ちから制作が始まり、旧来の日本家屋の中に現代人が住むとどうなるのか、どんなコミュニティを作るのか、「家族」とは何か、など色々な疑問を提示する作品になりました。
観客にどう受け入れられるか全く想像できなかったですが、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭で優秀作品賞を受賞し、とても嬉しかったです。
コロナ禍を迎えて、他者との関係性や距離が制約され、新たな関係作りを模索している今だからこそ、観てほしい作品です。

■矢島役:山科圭太 コメント
少ない台詞でキャラクターを掴むのが難しいなと思い、とにかくあの場所で起きることに反応できるよう心がけました。最初に脚本を読んだとき、矢島はあまり動じないイメージでしたが、共演者の皆さんの演技により、とても心を動かされたのが印象的です。試写で作品を観た際は、知っている物語のはずなのに、先が分からないスリルがありました。人と人が共に暮らすことで生じる根源的なテーマ、そしてあの奇妙な緊張感をぜひお楽しみいただきたいです。

■マキ役:石川瑠華 コメント
私の演じたマキは「家」の外の世界で悩みや葛藤を抱えて自分を変えたくてこの「家」に来た人。
「家」に来る前とは違う自分を作り出すこと、そして違う自分でいることを心がけました。
マキとしては挑戦をしているような感覚でした。
また家の中で作られたモヤっとした人間関係をできるだけ感じながら、「家」にいました。

この映画は色々な捉え方ができる映画だと思います。誰のものでもない、
誰にも決まりがないようである「家」で暮らす人達。
それって本当に自由なのかな。人の物語でもあり、「家」の物語でもあると思いました。

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2021年4月23日(金)よりアップリンク渋谷ほかにて公開
配給:アルミード
©東京藝術大学大学院映像研究科

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