左翼は島内も新外国人カスティーヨ、ディクソンの来日が未定
楽天の外野手争いが熱い。コロナ禍で外国人選手の来日のメドが立たない中、沖縄・金武キャンプ中の石井一久GM兼監督は「だからこそ若い選手に競争して勝ち取ってほしい」と期待を寄せる。実際、その顔ぶれは多士済々だ。【宮脇広久】
楽天ではキューバ出身のルスネイ・カスティーヨ外野手、メジャー通算20本塁打で外野も守れるブランドン・ディクソン内野手の新外国人選手2人の来日が未定。左翼は、打線の中軸を務め今季からの4年契約を結んだ島内宏明が一歩リードしているが、その他は混戦模様だ。
その中で、右投左打の小郷裕哉は2年目の昨季、打率.295、4本塁打と打撃で非凡なところを見せた。13日に行われたロッテとの今季初の練習試合でも「3番・左翼」で出場し、4回に先制中前打を放った。
その他にも、石井監督が「素質のある外野陣なので、素質にとどまらず、もう1つ上のレベルで争ってほしい。ポテンシャルのある選手が多く、誰がそのポジションに入るのか、誰が活躍するのかが楽しみです」と相好を崩すように、“大化け”の可能性を秘めた選手がめじろ押し。
特に期待されているのがドラフト1位入団から3年目を迎えた辰己涼介。強肩の俊足は球界トップクラスともいわれ、昨季8本塁打が示すようにパンチ力もある。昨季は打率.223と確実性に欠け、絶対的なレギュラーになりきれなかったが、13日の練習試合では4回先頭で右中間を破り、悠々三塁を陥れる“スタンディング・トリプル”。5回にも左前打を放った。
「アピールしていかないといけない立場なので、多くのいい結果を残して、開幕からシーズン終了まで突っ走っていきたい」と必死の形相。「打撃が1番の課題なので、どうやったら多く出塁できて、どうやったら多く安打を打てるのか、模索しています」と打ち明ける。打撃が開眼すれば、一気にスター選手となってもおかしくない。
オコエは今月中に左手手術、19歳の若武者・武藤も台頭
底知れない潜在能力を秘めているのは、大卒5年目のスイッチヒッター、田中和基も同様。故障などで不本意なシーズンが続いているが、まずは打率.265、18本塁打、45打点、21盗塁で頭角を現した2018年の輝きを取り戻したいところだ。
巨人時代から長打力を注目されていた和田恋も外野手登録で、このキャンプのフリー打撃では、ドラフト1位ルーキーの早川隆久投手から逆方向の右翼へ特大の柵越えを2発放った。また、現在2軍キャンプにも、実績のある岡島豪郎、下水流昂らが控えている。今月中に「左手関節TFCC縫合術」を受けることが発表された6年目のオコエ瑠偉は、回復後の巻き返しは欠かせない。それだけの顔ぶれがそろっている。
さらに、ここにきて石井監督が頻繁にその名を口にするのが、2年目・19歳の武藤敦貴。50メートル6秒0の韋駄天は、ルーキーイヤーの昨年3月、紅白戦で帰塁時に右肩を脱臼。1軍戦出場を果たせず、イースタン・リーグでも3試合出場にとどまった。それでも昨年11月の宮崎フェニックス・リーグで全18試合に中堅手としてフル出場し、評価を上げた。
指揮官は「今年はブルペンを8人にするか9人にするか決めていない。武藤ら外野手を含めての争い」と語っている。投手を1人削ってでも武藤を1軍に抜擢する可能性に言及するほど惚れ込んでいる。13日の練習試合では辰己の代打で登場し、空振り三振に倒れたが、まだまだチャンスはある。
いよいよ、今後の練習試合やオープン戦は結果が求められる段階。誰がレギュラー争いで開幕に生き残るのか。外国人選手が来た時に、入り込む余地がないくらいになっていれば、石井監督にとって理想的だろう。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)