「五竜号」慰霊碑への案内板設置 長崎・諫早 77年前の2月12日墜落

「五竜号の碑」と書かれた案内板を設置するあけぼの会メンバー=長崎県諫早市

 77年前の2月12日、長崎県諫早市高来町古場の五家原岳中腹で墜落した軍民共用の航空機「五竜号」の史実を伝えようと、同町の旧青年会OBでつくる「あけぼの会」(吉田壽博会長)は12日、同町の山林内にある慰霊碑までの案内板を設置し、犠牲者12人に黙とうした。
 「五竜号」は第2次世界大戦中、当時の大日本航空に所属、旧陸軍が借り上げていた。1944年2月12日、台湾から福岡の飛行場に向かう途中、五家原岳に墜落。軍人7人と乗員5人が死亡し、地元の山林組合が68年、山林内に慰霊碑を建立した。93年2月の50回忌法要以降、墜落事故当時を知る人は減少し、碑周辺も荒れ果てていた。

慰霊碑の場所

 同会は2019年9月、碑の場所を確認し、当時を知る人の聞き取り調査や墜落場所周辺に残る機体の残骸回収などに着手。これまで碑周辺で、機体の部品とみられる約120個を見つけた。
 しかし、碑までの道が分かりにくいため、同会の8人が、県道や広域農道、林道沿いの7カ所にアルミ複合材の案内板(縦90センチ、横30センチ)を設置した。道が分かれる場所ごとに、碑までの距離を表示した。
 参加者は同機が墜落したとされる午後3時56分に合わせて、碑の前で黙とうし、平和な世界を祈った。吉田会長は「戦争の犠牲者が身近にいたという史実を地域の人たちに知ってもらい、後世に語り継いでほしい」と話した。同会は今後も機体の残骸回収などの活動を続ける。

「五竜号」慰霊碑に手を合わせ、平和を祈るメンバー=同市

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