長崎大大学院生ら2人 林業再生目標に起業へ 株式会社「konoki」 新たな消費の形を模索

日本の木が消費される仕組みづくりを目指して起業する陣脇さん(右)と内山さん(陣脇さん提供)

 長崎大大学院の学生ら2人が、林業再生を目的にした株式会社「konoki」を今月、立ち上げる。林業にゆかりがなかった2人が目指すのは、商品販売を通じて日本の木が消費される仕組みづくり。今後は県内など各地の林業家と連携し、可能性を探っていく。
 立ち上げるのは長崎大大学院に在学中の陣脇康平さん(24)と立命館アジア太平洋大4年の内山浩輝さん(22)。三重県の林業家と出会い、林業が木材価格の低下や担い手不足、森林荒廃などの課題を抱えていることを知った。本県を見ても従事者の高齢化を一因に、担い手の確保は課題として横たわっている。
 林業が潤えば、担い手も増える-。好循環を生むために陣脇さんらが考えたのは、材木として売るだけでなく、新たな消費の形を提案すること。昨年3月から活動を始め、より腰を据えて取り組むため起業を決めた。
 新たな消費法として目を付けたのが、細かくスライスしたスギなど複数の樹木から香りや成分を抽出する飲み物。一部の林業家の間で親しまれ、ハーブティーのような味わい。飲むと口の中に木の香りが広がるという。
 商品化に向け昨年7月、クラウドファンディング(CF)で資金調達。153人が支援し、目標を上回る172万7千円が集まった。6月の販売開始に向けて現在、木の香りや成分が濃く出る方法を探って商品改良を続けている。
 コロナ禍でのリラックスアイテムにも着手。直径10センチ大のヒノキの間伐材を輪切りにし複数枚、お風呂に浮かべる。気軽にヒノキ風呂の雰囲気と香りを楽しめる商品。3月1日までCFで試験的に販売し、4月初旬ごろからインターネット上のサイトで販売を始める予定だ。
 会社の拠点は福岡市に置く。陣脇さんは「日本の林業を救う方法はやり方次第であると思う。各地の林業家とつながっていきたい」としている。
 問い合わせは陣脇さんのツイッター(https://twitter.com/5262_kouhei)かメール(kouhei.5262@gmail.com)で。


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