異様な静けさだ。女性蔑視発言に端を発した東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の辞任騒動から3日が経過。週明けの15日も後任候補者たちは〝貝〟になり続けた。
ここまで次期会長候補としてスピードスケート銅メダルの橋本聖子五輪相(56)、アーティスティックスイミング(シンクロ)銅メダルで組織委の小谷実可子スポーツディレクター(54)、競泳金メダルで初代スポーツ庁長官の鈴木大地氏(53)、ハンマー投げ金メダルでスポーツ庁の室伏広治長官(46)、バレーボール銅メダルで日本バスケットボール協会の三屋裕子会長(62)、柔道の元世界女王で日本オリンピック委員会(JOC)の山口香理事(56)、元五輪相で参議院議員の丸川珠代氏(50)らの名前が挙がるが、誰一人として会長人事について言及しない。
担当者を通じ、全マスコミに「一切しゃべらない」という旨を通達している候補者もいる。
後任選定を目的に新設された「検討委員会」は構成メンバーすら非公表。元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)が森会長から個別に後任指名を受けた際、世間から「密室政治」「不透明だ」と批判され、白紙になった経緯があるだけに関係者はピリピリしている。
森会長が正式に辞任を表明した12日の臨時会合では、すべての出席者へ「他人の発言は絶対に外部に漏らさぬように」とかん口令が敷かれていた。
仮に自分が指名されても川淵氏の二の舞は避けたい――。そんな候補者の心の声が、静寂の中で聞こえてくる。