元五輪相・丸川珠代議員 “ポスト森喜朗” 本命か 菅政権もくろむ「小池百合子潰し」

丸川珠代氏

新たな〝本命〟か。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の辞任騒動を受け、後任人事が慌ただしくなってきた。これまで大本命と目されていた橋本聖子五輪相(56)が過去のスキャンダルが響いて失速。代わって元五輪相で参議院議員の丸川珠代氏(50)が有力候補に急浮上した。先日〝大穴候補〟と報じた組織委の小谷実可子スポーツディレクター(54)を含め、水面下では候補者選びをめぐる綱引きが活発化している。

森会長の後任は「候補者検討委員会」が早ければ今週中にも候補者を絞り込む見通し。次期会長候補には橋本氏のほか、初代スポーツ庁長官の鈴木大地氏(53)、スポーツ庁の室伏広治長官(46)、さらに〝大穴有力候補〟として小谷氏の名前が挙がっている。そんな中、複数の組織委幹部の間でにわかにささやかれ出したのが丸川氏だ。

「東大卒のインテリで政界に通じている。政府とコミュニケーションを取る上でも適任。何より大きなスキャンダルがないのがいい」(組織委関係者)

当初は本命と目されていた橋本氏は「強制キス写真」のスキャンダルが再燃し、海外でも報じられた。五輪関係者からは「女性蔑視の後にセクハラでは恥の上塗り」とも揶揄(やゆ)されており、すでに脱落したと見る向きもある。では、なぜ丸川氏が急浮上してきたのか。そのキーパーソンはズバリ、東京都の小池百合子都知事(68)だ。

後任の選定には透明性のあるプロセスが求められる一方で、実情は「政局」が大きく絡んでいる。ある政界関係者は「小池氏は都議選(7月)、衆院選(時期未定)に向けて(政権与党の)自公をゆさぶる魂胆。二階派の線で国政復帰という話も出ているが、公明党からも〝小池待望論〟が湧くのを狙っている」と分析する。

小池氏は国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)、森会長、橋本氏との4者会談のボイコットを表明。森会長辞任の決定打となった。これも政界内では、女性初の総理大臣という野望を実現するために森会長の舌禍騒動を利用して「小池、ここにあり」をアピールしたと映っている。

そんな小池氏の動きに政府側も敏感に反応。丸川氏が浮上した裏側には〝小池潰し〟の思惑も見え隠れする。「菅(義偉)首相は小池氏の存在感を薄めようと躍起になっている。そのためにインパクトある人材、できれば女性をトップに据えて話題をつくりたい。そういう意味で丸川氏は最適任。東京都選出なので、逆に小池氏を揺さぶることもできる」(前出関係者)

森会長から後任指名された川淵三郎氏(84)を政府側が拒否したとされるのも「川淵さんでは、むしろ小池氏の存在感が目立ってしまう」(同)という〝大人の事情〟があったからだという。そこで小池氏への「刺客」として白羽の矢が立ったのが、丸川氏というわけだ。いずれにせよ、新たな「五輪の顔」を選ぶ過程に権力闘争が絡んでいるとすれば、国民の理解を得られるとは到底思えない。

世界的にも大きな関心を集める次期会長選びは、橋本氏で落ち着くのか、官邸サイドが推す丸川氏か、それとも組織委幹部から人気絶大な小谷氏か…。今後の動向から目が離せない。

© 株式会社東京スポーツ新聞社