「新しい姿を」復興の現状を報告 震災10年、長崎大セミナー 福島・川内村村長

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震災と原発事故から10年を前に、復興の歩みや村の現状をオンラインセミナーで語った遠藤村長

 東日本大震災と福島第1原発事故から10年を前に、原発事故に伴って一時全村避難した福島県川内村の遠藤雄幸村長が14日、長崎大が開催したオンラインセミナーで、復興の歩みや村の現状を語った。
 セミナーは、震災と原発事故の教訓を生かし、原子力災害への対応を学ぼうと長崎大福島未来創造支援研究センターが主催。東京電力や被災自治体の関係者ら約70人が参加した。川内村は長崎大と2013年に包括連携協定を結び、放射線量の評価や健康相談などの支援を受けている。
 遠藤村長は約8割の住民が戻った村の現状や課題について説明。さらなる復興に向け、雇用や産業、インフラ整備のための企業誘致や新たな農作物の栽培、子育て支援に特化した住宅の建設を進めていることを報告し「新しい川内村の姿を見せるのが、支援してくれた皆さんへの恩返しだと思う」と語った。13日夜に福島県沖で発生した地震については、村内で大きな被害はないとしつつ「10年前がフラッシュバックした。原発に異常なしと聞き安心している」と話した。
 長崎大原爆後障害医療研究所の高村昇教授と、福島県立医科大の山下俊一副学長も講演した。高村教授は被災自治体ごとに住民の帰還率に差が出ている現状を紹介し「10年が経過して復興のフェーズに差が出ている。それぞれのニーズや状況に合わせた支援が必要だ」と述べた。
 山下副学長は、原発事故の健康影響を調べる「県民健康調査」について説明。原発事故に伴う被ばく線量は低く、現時点で甲状腺がんと原発事故の関連は認められないとした、福島県の検討委員会の見解を示した上で「全国では依然として(放射線に)不安を持つ人は多い。正しい認識をしっかり伝えることが大事だ」と強調した。