生後8日の赤ちゃんが連れ去られ…凶暴ザル続出の深刻背景「人を見下している」

動物園のニホンザルはかわいいが…(写真はイメージ)

インド南部タミルナド州の地元警察は14日、民家で寝ていた生後8日の双子の赤ちゃんが複数のサルに連れ去られ、1人が死亡したと発表した。事故が発生したのは13日。部屋で寝ていた双子の赤ちゃんが急に泣きだしたため母親が駆けつけると、サルがちょうど双子を連れ去ったところだった。その後、サルは屋根の上から1人を空中に放り投げ、用水路に落下させて死亡してしまったという。

インドでは過去にも赤ちゃんがサルに狙われる事故が起きている。北部ウッタルプラデシュ州では2018年に生後12日の赤ちゃんが、顔をかまれるなどして死亡。同年に東部オディシャ州でも生後16日の赤ちゃんが連れ去られ、井戸の中から遺体で発見されている。

連れ去りは珍しいとしても、襲撃は日常茶飯事だという。首都ニューデリーに駐在する日本人男性によれば、「人がサルに襲われる被害が増えていて、ニューデリーも例外ではない。人を全く恐れず、堂々と食料を狙うサルもいる」という。

獣害で有名なのは、西アフリカのシエラレオネ共和国の“キング・ブルーノ”こと、体長180センチ、体重90キロを超える規格外の巨大チンパンジーによる殺人事件だろう。

世界的には“第1級殺人犯”として名高い。ある日、電気柵を解除して脱走したブルーノは06年に群れを率いて車を襲撃し、フロントガラスを素手でブチ破り1人を惨殺。その後も群れを率いて人を襲撃するなど、シエラレオネの人々を恐怖のどん底に突き落とした。

一説によれば長年人に育てられたことで、人の身体能力の低さなどを熟知。それにより人を見下すようになって凶暴化したのだという。

日本でも観光地で餌付けされて人慣れしたニホンザルが、食料欲しさに車を襲撃することは珍しくない。当然、赤ちゃんが乗っていれば連れ去られるリスクもある。「たかがサル」ではなく野生動物と対峙していることを忘れずに、適切な距離を保って自衛したいところだ。

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