東北で震度6強!最近よく聞く国土強靭化計画、有望な投資先は?

1月18日に召集された2021年の通常国会で、昨年末に閣議決定済みだった2020年度第3次補正予算が成立しました。まもなく、2021年度当初予算案も予算委員会での審議を経て成立する見通しです。

これらの予算案では、デジタル化などの新しい技術の普及が成長戦略として掲げられる一方、即効性の高い景気刺激策として公共投資に大きな予算が配分されています。今回は近年の公共投資の中心となっている国土強靭化対策、投資先として有望な関連企業について解説します。


国土強靭化とは事前防災

第3次補正予算の目的はまず新型コロナウイルス感染症予防対策ですが、同時に外出自粛要請などに影響を受けた経済の回復策にも重点がおかれています。

先日、東日本大震災(2011年3月11日)の余震とみられる大きな地震がありました。国土強靭化の基本方針は、万が一の場合に国民の生命や財産を守る事前防災です。

2020年度で終了する「防災・減災、国土強靭化のための3ヵ年緊急対策(以下、「3ヵ年緊急対策」)」を引き継いで、今回の第3次補正予算では、新たに「防災・減災、国土強靭化のための5ヵ年加速化対策(以下、「5ヵ年加速化対策」)」がスタートします。

新たに5年間の事業が開始

「5ヵ年対策」で想定されている事業規模は5年間で約15兆円と、「3ヵ年緊急対策」よりも金額、実施期間ともに拡充されています。

「3ヵ年緊急対策」は当初、総事業予算は3年間で7兆円と言われていましたが、実際に費用化されたのはその半分程度にとどまる見通しです。今回の「5ヵ年加速化対策」では、初年度の事業費として計上された国土強靭化関連費は、国土交通省だけで2.0兆円。「3ヵ年緊急対策」の初年度(6,183億円)の3.2倍の規模に達します。

予算が拡充され、さらに事業期間も延長されたことで、今までより長期の視点に基づいて充実した公共事業の計画を実施できるようになるとみられます。

2021年は公共土木工事が拡大

これにより、2021年度の公共土木工事の発注量は2020年度よりも拡大すると予想されます。

国土強靭化予算の投下先として、「3ヵ年緊急対策」から引き継ぐ交通ネットワークの整備・拡充対策だけでなく、豪雨災害の頻発に対応するため、河川の流域全体で行う治水対策が新たに加えられました。

これら建設関連セクターの中小型企業には、大手ゼネコンに比べて公共事業のウェイトが大きく、独自の存在感を発揮している企業が多くあります。

投資妙味のある企業は?

コロナ禍で民間建設投資が抑制される中、このような公共事業の受注で大きな成長が期待される企業はどこでしょうか。

例えば、台風に伴う高潮などで湾岸エリアの水没を防ぐため、港湾の嵩上げ工事や護岸ブロック建設工事などに関連する不動テトラ(1813、東証1部)が挙げられます。また、流域全体の治水対策として、大都市に整備さえる予定の地下調節池建設の代表的企業であるOSJBホールディングス(5912、東証1部)なども有力でしょう。

河川・海岸エリアの土木工事の際に必要となる排水ドレインや盛り土補強資材など、独自に開発した資材で高い収益を挙げている前田工繊(7821、東証1部)も注目です。

さらに、大型の補正予算によって地方自治体への交付金が増加しているため、舗装工事の発注が増加すると期待されます。舗装工事と舗装用機能製品を展開するするニチレキ(5011、東証1部)も見逃せません。

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