大ピンチ?大チャンス? 千賀&東浜の調整遅れる鷹の開幕ローテどうなる

ソフトバンク・石川柊太(左)と和田毅【写真:福谷佑介、代表撮影】

開幕ローテ当確と言えるのは石川柊太と和田毅の2人だけか

ソフトバンクが春季キャンプを行う宮崎市の生目の杜運動公園。キャンプ第4クール最終日となった16日に注目を集めたのは千賀滉大投手、東浜巨投手の初のブルペンでの投球練習だった。

両ふくらはぎのコンディション不良でリハビリ組の千賀は捕手を立たせたまま15球。ストレート13球、スラーブ2球を投げ、最速153キロをマークしていた。12月下旬に新型コロナウイルスに感染し、調整が遅れている東浜はまだ軽めの投球だが、捕手を立たせたままボールを投じ、マウンドの傾斜を確認した。

3月26日のシーズン開幕まで、あと38日。千賀と東浜が果たして開幕に間に合うのかどうかは気がかりなところだ。ただ、現段階でまだブルペンでの投球練習を再開させたばかりで、ここから本格的な投球練習、打撃投手登板、実戦形式、そして実戦と段階を経ていく必要があるだけにギリギリか、厳しいと言えるだろう。

仮に千賀、東浜が開幕に間に合わなかった場合、ソフトバンクの先発ローテの顔ぶれはどうなるだろうか? 昨季6勝をマークしたマット・ムーア投手も退団し、新助っ人のコリン・レイ投手、前日本ハムのニック・マルティネス投手は来日時期がまだ不透明。状況的には楽観視できるものではなさそうだ。

千賀、東浜が不在となった場合にローテの核となるのは昨季、千賀と楽天・涌井と最多勝を分け合った石川柊太投手、そして40歳のベテランとなる和田毅投手の2人だろう。ただ、ローテ当確と言えるのは、この2人だけ。残る4枠は今後の練習試合、オープン戦を通しての競争となる。

開幕ローテを争う他の先発投手の候補は…

石川、和田に次ぐ筆頭候補は昨季は中継ぎとして起用された高橋礼投手か。2019年には先発として12勝をマークして新人王を獲得。今季は先発再転向を目指してここまで調整を進めており、故障がなければ、ローテ入りの有力な候補となるだろう。

残る3枠をA組の残る先発候補である二保旭投手、武田翔太投手、大竹耕太郎投手、笠谷俊介投手の4人が争う構図となるか。二保は昨季12試合に先発して4勝、23歳の笠谷は昨季急成長を遂げた左腕で20試合に投げて4勝をマークした。昨季の投球内容からすると、笠谷にかかる期待は大きい。

これまでの実績から言えば、武田のポテンシャルは随一。2015年、2016年には2年連続で2桁勝利をマークしており、本来であれば、ローテの柱となっているべき存在だ。ツボにハマった時には快投するものの、一方で浮き沈みの大きさが玉に瑕だった。安定して力を発揮できるようになれば、大活躍できるだけの力はある。

昨季は2勝止まりに終わった大竹も面白い存在だ。2019年に17試合で5勝をマークしており、十分に戦力となれることは証明している。ストレートは140キロ前後と速くないが、150キロ超の真っ直ぐを武器とする投手が多いソフトバンク投手陣の中で、左投手かつ緩急を使え、目先を変えられる投手でもある。

このほかにも最速157キロを誇る杉山一樹投手を先発に回すことも策の1つか。若手中心のB組には高橋純平投手や尾形崇斗投手、育成選手の大関友久投手らもいる。

もちろん千賀、東浜の両輪が開幕に間に合うことが理想ではあるものの、急ピッチ調整はリスクも高くなる。両投手が開幕不在となれば、チームにとってはピンチだが、他の投手にとってはビッグチャンス。ソフトバンクで開幕ローテに入ってくるのはどの投手か。今後の実戦にも注目だ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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