楽天ドラ1早川の“愛され力” 涌井は「タカピー」と呼び、岸は伝家の宝刀伝授

楽天・早川隆久【写真:宮脇広久】

20日の練習試合で先発・田中将の後を受け実戦初登板

楽天のドラフト1位ルーキーで最速155キロ左腕の早川隆久投手が、沖縄・金武キャンプで“愛され力”を発揮している。早大の主将兼エースの重責を担ってきただけあって、理論的で真面目な印象だったが、ここにきていい意味で先輩たちからイジられ始めた。

16日のウォーミングアップ中。プロ17年目・34歳の涌井秀章投手が突然、12歳下の早川を「タカピー、タカピー」と呼び始め、32歳の田中将大投手も追随した。早川は「大学時代にもそう呼ばれていましたが、プロに入ってからは初めて。急だったので、力が抜けました。イジリみたいなもので、急に距離が縮まった気がして驚きました」と目を白黒させた。こうしてチームに引き入れてもらえるのは、新人にとってうれしいものだ。

早川はこれに先立ち、9日に勇気を振るって田中将へ「プロ1年目のキャンプをどう過ごされましたか?」と直接質問してみた。「14年前のことだから覚えてないよ……」と苦笑されたが、「ケガをしないで、無理をしないでやっていくのがいいんじゃない?」との答えをもらったという。

岸からは伝家の宝刀・カーブを伝授され「感覚が良くなりました」

36歳の岸孝之投手からは“伝家の宝刀”カーブの投げ方を伝授された。早川は最速155キロの速球の他、カーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、2種類のチェンジアップを操るが、その中でカーブとスライダーはこれまで比較的自信のない球種だった。

「岸さんにカーブの投げ方を教わって、感覚が良くなりました。普通カーブを投げる時には、手首を曲げがちですが、岸さんから『俺はどちらかというと、真っすぐのイメージで投げている』とアドバイスをもらい、真っすぐを投げるイメージをちょっと加えたら、うまく抜けるようになりました」と目を輝かせる。

「先輩の方々からアドバイスをいただいて、日々成長できている。先輩方の存在は、自分の成長に欠かせないと感じています」と殊勝に話した。

一方、「自分の性格はマイペースで自己チュー」と分析する早川だが、アニメ「ライオン・キング」の大ファンで、「自分の人生も(主人公の)シンバと重なるところがある」と大真面目に語るなどユニークな一面がある。イジられ愛されるゆえんではないだろうか。

20日の日本ハムとの練習試合(金武)で、先発の田中将の後を受け実戦初登板する予定。「バリバリのメジャーリーガーの後に、プロに入ったばかりの赤ちゃんみたいなやつが投げると、ギャップがすごくて打たれるんじゃないかという不安はあります」と笑わせる。環境に慣れ、先輩にイジられているうちに、表情がだいぶ柔らかくなったようだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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