【フェブラリーS】逆襲期すインティ 最終追いは銀世界切り裂く超抜の動きを披露

大雪の中、豪快に坂路を駆け上がったインティ

2021年のJRA・GⅠ開幕戦、第38回フェブラリーS(21日=東京ダ1600メートル)の最終追い切りが17日朝、東西トレセンでスタートした。今年は3連勝中のオーヴェルニュ、根岸S快勝のレッドルゼルをはじめ、GⅠ初挑戦となる新勢力が集結。迎え撃つ実績陣の筆頭は一昨年の覇者インティ。前走の東海Sではよもやの12着大敗となったが、栗東坂路での最終追いでは超抜の動きを披露した。フェブラリーS最多Vのジョッキーを背に逆襲のインティがここに完成だ――。

連覇を目指して臨んだ昨年のフェブラリーSではよもやの14着敗戦。この馬らしい前進気勢がまったく影を潜める「らしくない」敗戦だった。しかし、8か月の休養を経て臨んだ10月の交流JpnⅠ・南部杯では落鉄の影響などもあり最終的には9着に終わったものの、ハナを奪うこの馬らしい走りを取り戻す。そして年末のダート頂上決戦、GⅠチャンピオンズCではハナこそエアアルマスに譲ったものの、終始レースをリードして3着。ライバル・クリソベリル(4着)にも先着を果たし、健在ぶりをアピールした。

2021年初戦となった前走の東海Sは、スタートを決めてハナを奪おうとしたところで内から攻め込まれ、勝負どころでは外から早めに来られる厳しい展開。さらに馬場に水が浮き出すほどの不良馬場の影響も大きく、12着敗戦。野中調教師が「いい状態で臨めたんだけど、さすがに気持ちがなえてしまったかな」と嘆いたように精神的なモロさが同居するのは相変わらずだが、能力の高さは折り紙付きだ。どんなレース、相手関係でも、常に勝利の可能性を秘める馬――それがインティだ。

注目の最終追いは小崎(レースは武豊)がまたがって、坂路での単走追い。明け方から大雪が降りつづく厳しいコンディションの中、テンから抜群のスピードの乗りでいつも通りの力強いストライドを繰り出し活気十分に登坂。最後は銀世界を切り裂くような豪快な伸びで4ハロン52・1―12・9秒をマーク、GⅠ馬らしい堂々とした追い切りを披露した。

野中調教師は「前走のダメージもなく、順調に乗り込めていて状態も上向いているね。実戦を使って息遣いも良くなっているし、先週(10日)の動きもこちらが思っている以上に良くなっていた。このひと追いで態勢は整うと思うよ」と盤石の仕上がりをアピール。レースに向けては「この馬の場合、とにかく自分のリズムで気分良く運べるかどうかだからね。ハナにこだわらず番手でも、スムーズに競馬できればチャンピオンズCぐらいは走れるからね」。

今回もパートナーはフェブラリーSで最多勝利(5勝)を挙げている武豊。その鞍上も「今年最初のGⅠだし、個人的には51歳最後のGⅠなので、何とか勝ちたいですね」。自身6度目となる同レースVへ向け、競馬界のレジェンドも意気込み十分だ。

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