カブス・ロス監督「今季200イニングを投げる投手はいないだろう」

今季は各球団が先発投手の起用法に頭を悩ませるシーズンとなることが予想されている。昨季が60試合制という異例の短縮シーズンでの開催となったため、メジャーで最も投球回数が多かった投手でも80イニング前後しか投げておらず、今季いきなり従来の200イニングを投げるようなことになれば、大きな故障につながってしまう危険性があるからだ。カブスのデービッド・ロス監督は「今季200イニングを投げる投手はいないだろう」と自身の見解を語っている。

カブスのジェッド・ホイヤー編成本部長は「固定された5人の先発ローテーションという考え方は現実的ではないと思う」とコメント。従来の5人制ローテーションであれば、先発投手はそれぞれ180イニング前後を投げることになるが、それは昨季と比較して投球イニング数が3倍に跳ね上がることを意味する。これでは故障リスクが高まってしまうため、各球団は先発投手を多めに確保するといった対応を迫られている。

マリナーズのように6人制ローテーションを採用することを明らかにしているチームもあるが、ロスによると、カブスは6人制ローテーションを採用するつもりはなく、先発とリリーフを行き来させるなどして各投手の投球イニング数を管理する方針のようだ。先発投手を早めに降板させたり、ローテーションを1周飛ばしたりして投球イニング数を調整するといった方法も考えられる。先発投手のイニング数が減少するしわ寄せはブルペンに行くため、結局のところ、先発投手だけでなくブルペンの層も厚くしておくことが重要になる。

また、カージナルスのジョン・モゼリアック編成本部長は「先発ローテーションの強さを考えるとき、5人だけの名前を見るのではなく、デプス(=層の厚さ)が重要だ」と語っている。5人だけで1年間のローテーションを回せる可能性は皆無に等しく、6番手や7番手、あるいは10番手や11番手の先発投手が必要となるケースも出てくる。そのポジションの投手のクオリティが大きく下がってしまうようであれば、「162試合制復帰1年目」のシーズンを勝ち抜くことはできないだろう。

いかに各投手の故障リスクを低減しつつ、登板する投手のクオリティを保っていくか。各球団の首脳陣の手腕が問われることは間違いない。「投手のデプス」が勝敗を分けるシーズンとなりそうだ。

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