【OTC購入者へのヘルスケアポイント付与】「ガイドライン策定の検討進む」/ドラッグストアの勉強会DMSが指摘

【2021.02.17配信】ドラッグストアをはじめ卸やメーカーが参画して商品流通の在り方を話し合う勉強会の「ドラッグストアMD研究会」(DMS)は2月17日、「OTC販売規制緩和に関する緊急セミナー」をオンラインで開催した。その中で、OTC購入者へのヘルスケアポイント付与に関して、「ガイドライン策定の検討が進むのではないか」と指摘した。

「健保連からは活用しないということは考えられないとの声ある」

DMSの横田 敏氏が講演した。

保険給付範囲から除外する方法では、2012年に栄養補給目的のビタミン、2014年に治療目的以外のうがい薬単体、2016年には70枚超の湿布薬が保険給付から除外されてきた。OTC化ではスムーズに医師との連携がいかないこともあり、医療用のまま医薬品だけを全額自己負担とする枠組み「保険外併用療法費制度」が活用されてきた。

昨年の議論を経て提示されている主な論点は、市販品類似薬の保険給付の在り方のほか、「自己負担の引き上げ以外の方策による薬剤給付の適正化策(セルフメディケーションの推進等)」がある。これらは医療保険部会で了解されている。
この「セルフメディケーションの推進」においては、上手な医療のかかり方の普及なども取り組み課題としてあげられている。
OTC薬の適切な選択・使用に関する助言を含む国民からの相談体制の構築については、健康サポート薬局やかかりつけ薬剤師・薬局の普及促進が重要となると指摘されている。横田氏は「これらと薬剤の自己負担比率の制度を絡めた検討が始まった」と指摘した。

スイッチOTCの推進や更なる経済的インセンティブの付与の検討がされている。これには例えば、セルフメディケーション税制の延長・拡充等などが含まれる。横田氏は、OTCの適切な使用に関して、「大変重要だが、医療保険制度が充実していたために立ち遅れているのではないか」としたほか、「保険者の立場からセルフメディケーションを推進すると、保険者の役割が記載されたことの意味が大きい」と指摘した。
保険者の具体的な取り組み案として、「スイッチOTCを使用した場合やセルフメディケーション税制を利用した場合の医療費負担の削減効果について個別に通知」することや、「被保険者に対するOTC薬購入等のセルフメディケーションに対するインセンティブ付与」などが提案されている。

例えば花粉症薬(フェキソフェナジン)60g・14日分では、保険者は保険医療の場合は4270~4998円を負担しており、これをOTC薬購入した場合に1000円(ヘルスケアポイント1000ポイントなど)を被保険者に付与したとしても、保険者にとっての削減効果は大きいのではないかとの試算がある。

昨年12月18日の改革工程表では、「2020年の関係審議会のとりまとめを踏まえ、医療資源の効率的な活用を図る観点から、薬剤給付の適正化へ向けて、保険者の上手な医療のかかり方およびセルフメディケーションの推進策の具体化について関係審議会において、早期の結論を得るべく引き続き検討するとともに、その他の措置についても検討」との記載になった。

2013年の日本再興戦略でセルフメディケーション推進が記載されてから、7年以上が経過しているが、健康サポート薬局が設けられるなど、「一つ一つ取り組みが具現化されてきている」(横田氏)。

ヘルスケアポイントを活用したOTC購入のインセンティブに関して今後想定されるシナリオについては、厚労省に関しては、「保険者に検討してもらうのが基本としつつも、一定のガイドラインの見直し等は必要かどうかなどを検討している」と分析。
健保連の反応に関しては、「国が方針を示してくれたことは大きい。それを活用しないということは考えられない」との声があるという。ただし、「ヘルスケアポイントは歴史が浅く、なじんでいない」という感触もあるそうで、「厚労省と相談しながら進めていきたい」との意向があるという。
協会けんぽ(全国健康保険協会)に関しては、「健保連での仕組みづくりで実績をつくってもらいたい」との意向という。

こうした要請を受け、「今後、厚労省でもガイドラインの見直しを検討するのではないか」と横田氏は分析する。

横田氏は「健保連などの財政状況が厳しく、今後は予防・保健事業に財源をシフトしていくのではないか。それがセルフメディケーションの推進にもつながっていくと思う」と予測した。

セミナー動画は2月17日から2月26日まで配信している(要申し込み)。

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