日本列島ゆるゆる古墳ハント(16)長野県長野市の「大室古墳群」冬は人がいない!謎多き古墳群

「旅チャンネル」の企画で世界一周を2回経験した、古墳を愛するイラストレーター・マンガ家の水谷さるころが、これまで訪れた日本各地の古墳の魅力を紹介します。今回は、長野県長野市の「大室古墳群」です。

23号墳

「大室古墳群」は2つありますが、今回は長野県のほうの大室古墳群です(もうひとつは群馬県前橋市にあります)。

この古墳群は、ほかの古墳群とは違った形をしています。2.5㎞四方の範囲に約500基の古墳が作られていますが、そのほとんどが「積石塚」という石を積み上げた古墳です。そして1基の前方後円墳以外の全てが円墳です。

大室古墳群で最初に作られた古墳は前方後円墳の18号墳で、全長55m。築造年代は5世紀前半とされています。それから8世紀くらいまでずっと古墳が作られ続けます。しかし、古墳のほとんどが盗掘されており、発掘されている品はわずかです。それゆえに、謎の多い古墳群となっているようです。

前方後円墳などの古墳は土を盛り上げて墳丘を作られますが、こちらの古墳は「積石塚」が全体の70〜80%を占めています。このような場所は日本の中でもほかになく、珍しい古墳群です。

このような古墳は朝鮮半島の類似の古墳が起源ではないかと考えられており、この古墳群は渡来人のものではないかと考えられています。

大室古墳群は憩いの場、学習の場、歴史体験の場として公開されています。・・・が!「大室古墳館」はなんと冬期休業・・・!(我々が訪れたのは2020年の2月でした)古墳ハントは虫がいない、草木が生い茂らない秋〜冬がいいのですが・・・。長野県の冬山で古墳巡りをする人は少ないのか、営業していませんでした。そして、広い敷地内にほとんど人がいませんでした!

大室古墳群は7つのゾーンに分けて、整備されており、現在はエントランス部といわれるところから大室古墳館までが整備済みです。前方後円墳がある18号墳はどこに・・・とGoogleMapを見てみると・・・あ、幼児連れのお気軽古墳ハンターには・・・行けない・・・距離でした。とはいえ、エントランスゾーンだけでも見応えのある古墳があり、充分に楽しめます。

244号墳

エントランスゾーン入ってすぐのところにある244号墳は、大室古墳群の中で最大規模の円墳です。周溝を含む直径約30m、高さ8mです。築造年代は7世紀前半とされています。244号墳は周溝の周りをぐるりと一周できて、石室の中にも入れます。

ドングリの森の中にある33号墳

ドングリの森エリアの先、森の中を進むと古墳ではない石垣があります。これは後の時代の段々畑です。31号墳は段々畑に取り込まれてしまった古墳です。

段々畑の石垣の一部にされてしまった31号墳

エントランスゾーンの真ん中には音無川という川が流れています。244号墳の反対側には古墳密集エリアがあるのですが、そこを巡るだけでも充分「古墳群」を満喫できました。私は墳丘派の古墳好きなので、たくさんのこんもりした古墳がある大室古墳はとても楽しめました。

誰もいない冬期の大室古墳群

息子がもうちょっと大きくなって、山登りができるようになったら古墳巡り&山登りをしに来たいと思いました。ちなみに、石室の中に蜂が巣を作っていることもあるとか。・・・次は春以降に準備万端で来ます!

大室古墳群

住所:長野県長野市松代町大室

[All Photos by Mizutani salucoro]

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