“楽天の佑ちゃん”がサイド転向で再出発 首脳陣が評価する「這い上がる姿勢」

楽天・渡邊佑樹【写真:荒川祐史】

高い需要「支配下にすることを想定している」と石井GM兼監督

オーバースローの本格派左腕投手として3年間結果を残せず、昨季オフに戦力外通告を受けた男が、サイドスローに転向し育成選手として再出発。楽天の渡邊佑樹投手は沖縄・金武町での1軍キャンプに抜擢され、日ごとに存在感を増している。早期の支配下登録復帰も夢ではない。

横浜商大から2017年ドラフト4位で入団した渡邊佑だが、3年間で1軍登板は2019年7月25日の西武戦(楽天生命パーク)1試合のみ。9回に登板し、1回無安打2四球3奪三振無失点だった。制球難が大成を阻んだ格好だ。

昨年11月の宮崎フェニックス・リーグでサイドスローに転向。その上で、いったん戦力外通告を受け、育成選手として契約を結んだ。背番号は「47」から「150」へと重くなったが、「1日でも早く支配下登録され、シーズンを通じて1軍でチームの力になりたい」と心に誓った。

日本ハム・斎藤佑樹投手と同名で、甘いマスクも相まって「楽天の佑ちゃん」と呼ばれたこともある。右肘靭帯断裂を抱えながら復帰を目指している“本家”同様、渡邊佑も崖っぷちの挑戦ではある。

「1軍へ這い上がろうという姿勢を見せてくれている」

リリーフができる変則的左腕への需要は高い。石井一久GM兼監督は「育成契約を結んだ時点で、支配下にすることを想定していた。支配下、1軍へ這い上がろうという姿勢を見せてくれている」と高く評価。「彼の長所は、右打者に対してもしっかり投げられること。内角を突くことができて、外角へのチェンジアップもあるからだ。完成度を上げていってほしい」と期待している。

16日には、阪神との練習試合(宜野座)の8回に6番手として登板。阪神のドラフト1位ルーキー・佐藤輝明内野手に外角スライダーをバットの先で拾われ左前打とされるなど、1回2安打無失点だった。

小山伸一郎投手コーチは「佐藤君には甘くなった変化球を持っていかれたが、タイミングは崩していた」と前向き。「オーバースローの時に比べて制球がまとまっているし、スピードは変わっていないのに、力強さが増しているのは見ていてわかる。試合の経験はまだまだ足りないが、どんどん使って修正していけば良くなる」と確信を持っている。

首脳陣はモデルチェンジに必要な猶予は与える姿勢だが、かといって、いつまでも気長に待ってくれるわけではない。“焦らず急ぐ”ことが求められる立場だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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