WealthNaviがついにNISAに対応!新サービス「おまかせNISA」とはのメリット、デメリットとは!?

2020年に株式上場も果たし、勢いのあるロボアドバイザーのウェルスナビが新サービス「おまかせNISA」を2月17日より開始しました。自動で資産運用を行うロボアドバイザーとしてのNISA対応は日本初とのこと。

注目の新サービスがどのようなものなのか?その全貌と、メリット・デメリットをご紹介していきたいと思います。


そもそもロボアドって?

そもそも、ロボアドバイザーとは何かというと、ユーザーの投資経験やリスク許容度を診断し最適な資産配分(ポートフォリオ)をアドバイスしたり、アルゴリズムに基づいた運用管理(金融商品の買付・リバランスなど)をしてくれるものです。

ロボアドバイザーには、投資アドバイス型(運用の診断と助言のみ)と、投資一任型(アルゴリズムに基づき運用・売買までおこなう)がありますが、ウェルスナビは投資一任型です。

利用者のリスク許容度(値上がりや値下がりの振れ幅)に合わせて運用ポートフォリオを選ぶことができ、リスクは高くても良いから、リターンを大きく期待したい場合は株式の比重が高まるようになっている。

ロボアドは、全米で上場している3600社以上の企業に分散投資が可能なETF(上場投資信託)であるVTIや、新興国株式をまるっとおさえることができるVWOなど、著名なETFを中心に金や債券のETFをバランス良く購入してくれます。非常に便利だと思うのは、リバランスを年に2回してくれることや、新規での買付の際や、ETFの分配金を自動で再投資にまわしてくれることです。

いよいよNISAに対応

そのウェルスナビが、いよいよNISAに対応したとうです。でどのような内容なのか、説明会に参加しました。

NISAは少額投資非課税制度といい、年に120万円までの投資をNISA口座の中で運用すれば、そこで運用益が出ても、利益に税金がかからないというもの。運用益には通常20.315%の税金が発生するので、仮に100万円の運用益がでても実質の手取りは79.6万円ほどとなります。

運用益に税金がかからなくてお得!ということで、多くの方がNISA口座を開いていますが、まだまだ利用が少ないのが実態です。

令和元年の投資信託協会の調査によると、NISAの制度自体の認知率は76%あるようですが、口座開設者は23%ほどにとどまります。また、金融庁の「NISA口座の利用状況調査(2019年12月末時点)」によると、NISA口座を開設していても、休眠状態にあり1年間の投資額がゼロという人が56%に及び、まだまだ普及しきっているとは言えないようです。

「NISAを始められない」層がターゲット

ウェルスナビの「おまかせNISA」は、"NISAを知っているけど始められない”という層の、「NISA制度が複雑でよく理解できない」「口座申込など書類の手続きが面倒」「調べたり、口座開設するための時間が取れない」などの課題に答えるべく、ネットのみで口座を開設できるようになっているとのことです。

おまかせNISAの口座開設には、まずウェルスナビの口座が必要になります。同社のの口座開設自体は、営業日であれば申込み日に開設することができるようです。

その上で、おまかせNISAを申し込むと、税務署の確認を経て、2〜3週間で「おまかせNISA」の口座開設に至るとのこと。既にウェルスナビの口座を持っている人は、そのまま「おまかせNISA」の申請をすれば良いようですね。

NISAは2028年まで延長

そもそもNISAは、5年間の非課税期間と時限式のものです。期間延長はあったものの2023年で現在のNISAは終了します。しかし、2020年の税制改正を受け、新型NISAとして2024年から2028年まで延長が決まりました。

新型NISAは、合計122万円/年の投資枠がありますが、運用できる枠が2階建てになっており、1階部分にあたる「つみたてNISA」の対象商品の中から、一部の高リスク商品を除き買うことができる「20万円/年」枠と、従来のNISA同様に株やETFも購入することができる2階部分の「102万円/年」の枠に分かれます。

少し複雑な上に、2024年からの制度なのでまだ詳細が決まっていない部分があります。基本的に「おまかせNISA」も新型のNISAに対応するとのことですが、1階・2階で買える商品が異なるため、枠全体をうまく活用できるのかはこれから決まり、調整が必要になりそうです。

ロボアドでNISAを使うメリットは?

最大のメリットは、長期で自分のリスク許容度に合ったポートフォリオのバランスを維持してくれるというウェルスナビの特徴をそのまま使えることでしょう。

その上で、私が「なるほど」とびっくりしたのは、ウェルスナビの口座とおまかせNISAの口座の両方で、最も効率的な投資を自動的にしてくれるという機能です。

例えば、ウェルスナビの方で100万円運用しており、おまかせNISAでも100万円の運用をしているとします。次に20万円投資する場合は、NISA枠がまだ余っているので、優先的におまかせNISAに投資してくれます。全体でバランスをとることで、"おまかせNISA”の方がリスクとリターンの高い株式や不動産のETFを多く配分していくとのことです。これは運用して利益の額が大きくなるであろうアセットクラスに税金がかからなくするためです。

リバランスについても、”おまかせNISA”の方からは売らずに、通常のウェルスナビの口座で売却し、全体のポートフォリオを調整することで「税制優遇枠を極力減らさない」という工夫があるようで、さすがだなと思いました。

デメリットは?

デメリットはやはり手数料です。1%運用手数料が発生してしまうので、直接ETFを購入するのと比べると、どうしても運用益が少なくなります。

ETFはそもそも0.01〜0.1%程度の運用手数料なので、その10倍以上の費用がかかります。

3000万円以上を運用すれば0.5%に運用手数料が減りますが、多くの方にとってそこまでの金額をウェルスナビに預けることは難しいのではないかと思います。

また、米国株ETFや新興国株ETF、金、債券などをバラバラに購入しているわけではないので、一部を現金に替えたいときに、調子の悪いものは売らず、成績が良い状態のものだけを売るということができません。

せっかく値動きの異なるものを買っても、これでは常に中庸な結果になってしまいます。個別で持っていれば当然バラバラに売却できるので、成績の良いものを取り崩し、成績が悪いものは回復するまで待つこともできます。

また、新型NISAはその制度の全貌がまだ決まっていません。現行のルールだと、1階部分は「つみたてNISA」の対象商品の中から選ぶことになるので、つみたてNISAに対応していないウェルスナビはその枠を使えない可能性もあります。

122万円のうち102万円の2階建て部分のみの利用となると、税制優遇枠を最大に使うことが出来ない可能性もあります。のあたりは、新型NISAのルールが固まり次第、出来る限りの対応を考えているとのことでした。

年内に一度でも使っているとNISA口座は変更できない

また、注意点になりますが、NISA口座やつみたてNISAを1年のうち1回でも投資していると、同年内は金融機関を変更できません。既にNISA枠を持っていて今年購入をしている人は、「おまかせNISA」を利用したくてもお預けとなります。

10月以降に口座変更の申し出ができるようなので、来年からは金融機関の変更が可能になるはずですので、利用している金融期間に問い合わせてみると良いと思います。

自動で最適なポートフォリオを組んで運用してくれる上に、非課税枠にも対応した「おまかせNISA」。今後の新型NISAとの適合がどうなるのか気になるところです。メリットとデメリットも見据えたうえ、利用を検討してみましょう。

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