チャン・ツィイー、チャン・チェン…映画とテレビの間に境界はあるか?

過去10年間で、“スクリーン”と“テレビ画面”の境界を越えようとした俳優の業績はどのようなものだったのか?映画からテレビドラマに移行した、またはテレビドラマから映画に積極的に挑戦した俳優たちのパフォーマンスを整理し、彼らの「壁を破る」試みを確認していこう。

チャン・ツィイー(章子怡)初出演のテレビドラマ「上陽賦(原題)」はまさに“話題の爆弾”のようなもので、放送後、ネット上のホットスポットにすぐさま火をつけた。検索トピックと豆瓣(Douban)のコメントから判断すると、このドラマに関するネット上の主なディスカッションには2つの焦点があった。

まず一つ目は、放送開始当初に「なぜ中年の俳優がキャラクターの少女時代または少年時代を、放棄せず自ら演じたのか」という話題。ネット上では過去にも同じ様に演じたジョウ・シュン(周迅)、チャン・ルーイー(張魯一)らの名前もあがり、不平が噴出した。

二つ目は、チャン・ツィイーに代表されるような映画を主戦場としてきた俳優の演技が、今日のテレビドラマの美学に適合せず観客が共感できない、などということであった。こうしたネガティブな意見の下で、「上陽賦」の豆瓣評は5.8ポイントとなり、ドラマレビューの最初の数ページは、批判的なコメントで埋め尽くされてしまった。

しかし、物語がラブストーリーの感情的な段階に入り、特にヒロインと夫の甘いシーンが視聴者の心を掴んだ。多くの視聴者が魅了され、口コミのフィードバックが向上し始めた。

実力派俳優同士が見せた“愛”の力によって豆瓣スコアも上昇、ポイントも6.2に達した。その結果、「上陽賦」は放送開始直後口コミ危機に見舞われたものの、現在は人気が依然として高く、Vlinkageのデイリーリストの上位にランクインするようになった。

「上陽賦(原題)」のように、低評価からはじまって後に人気が上昇する流れは、昨年のチャン・チェン(張震)初のテレビドラマ「運命の桃花~宸汐縁」を彷彿とさせる。

「運命の桃花~宸汐縁~」(C) 2018 GCOO Entertainment Co., Ltd 

彼の出演作「運命の桃花~宸汐縁」は放送当初、「上陽賦(原題)」の評価と似ていた。ドラマスコアはわずか5.5ポイントしか獲得できず、チャン・チェンとニー・ニー(倪妮)の見た目と年齢が、視聴者からのツッコミどころになってしまった。

しかし、ストーリーが展開するにつれて実力派俳優たちの高度な演技が評価されはじめ、ドラマの豆瓣(Douban)スコアは上昇。最終的に8.3ポイントに達した。

今回の「上陽賦(原題)」放送でチャン・ツィイー(章子怡)に降りかかった口コミ攻撃の洗礼は、今後も映画界で活躍するスターがドラマに転戦する際には、つきものとなっていきそうだ。

現在のテレビドラマの制作レベルは急速に向上し、映画スターが主演を飾るドラマも各業界のトップクラスが集結し制作されている。しかし、テレビドラマを制作する際に、最初から最後まで映画のようなクオリティを維持するのはとても難しく、また、テレビではいささか過剰に見えてしまう映画スター特有の演技方法は、視聴者に違和感を覚えさせる場合もある。

映画で活躍するスターがテレビに転戦するときにありがちなのだが、彼らは作品を自分の演技力で“魅せよう”とする。しかしそれでは現在のドラマ市場の風潮とはズレがあり、ドラマの視聴者は出演者の見た目の良さと、糖度の高いラブストーリー性に興味が傾いている。

こうした市場の風向に注意を払わなくても、トレンドを追いかけたくない場合でも、いずれにせよ誤ったセンスを持ち続ければ、作品の市場競争力は失われていくことだろう。

スン・リー(孫儷)、ヤン・ズー、ウォレス・チョンといったテレビドラマ界のスターが映画界で成績が振るわなかった要因には、映画界全体(映画俳優たちへの環境も含め)のリソース不足があり、結果的に、ここ数年間で話題になったテレビドラマからの“流量IP+流量アクター”(テレビドラマの映画版)カテゴリーは、興行成績面で次々と失敗してしまった。
こうしたことから、映画市場が“越境”したテレビスターたちを受け入れる許容枠を、大幅に削減せざるを得なかったとも考えられそうだ。


引用元:wechat Vlinkage   /   公式アカウント:「Vlinkage」
記事タイトル:「电影与电视剧之间,是否有鸿沟?」

※この記事は引用元からの配信許諾を得て日本語に翻訳・編集したものです。

翻訳・編集:Cinem@rt編集部

© 株式会社エスピーオー