伝説的なアル・カポネの最晩年を「印象主義的に見る映画」 映画「カポネ」ジョシュ・トランク監督

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トム・ハーディが最晩年のアル・カポネを演じる映画「カポネ」が2月26日から劇場公開される。公開を前に、自らのアイディアで企画を起こし、脚本・監督を務めたジョシュ・トランクのインタビューが公開となった。

悪名高い伝説のギャングであるアル・カポネの偉業に、かねてより魅せられていたというトランク監督。「僕たちはアル・カポネのような伝説的な人物を勝利という観点から振り返りがちだ。すっかり変わり果てた姿で出所して、自分の帝国が影も形もなくなっていることを知るこの男のことが、僕はいつも気にかかっていた。ゆっくりとすべてを、愛する者たちの顔さえも忘れていく過程はひどく苦しいものだったにちがいない」と語り、本作品を「アル・カポネの人生の最晩年を印象主義的に見る」映画と形容した。

制作過程については「日付や名前で行き詰まれば、その都度調べたけれど、彼の話はほんとうによく知っていたので、一般的に行うようなリサーチをずいぶん省いた」と説明。カポネについての自らの知識を、彼の終末を情感豊かに細部まで描くためのインスピレーションとして活用したことを明かした。

カポネの家族については「彼は家族を愛している」と言い、「息子や妻、兄弟、姉妹、母親、そして孫たちと過ごす時間を楽しんでいる。けれども病気と元々の破壊的な性格のせいで、この映画の間に悪化していくようなかたちで、ゆっくりと彼らとの関係が絶たれていくんだ」と語った。また、架空の捜査官クロフォードを登場させた理由を、「カポネは悪名高い犯罪者でありながら比較的軽い罪で刑期を終えた。恨みを買っていたうえに、彼が本当に精神的に参ってしまったのか、それとも今も秘密裏に彼の帝国を支配しているのかという憶測があった」ためと説明した。

「カポネ」は、かつて暗黒街の帝王として君臨した伝説のギャングであるアル・カポネの最晩年の姿を、実話を元に新たな視点で描いた野心作。服役を終えてフロリダの大邸宅で暮らすアル・カポネが、梅毒が原因の認知症に苦しみ、薄れゆく記憶から自らが作り出す悪夢にさいなまれていく様子を描く。トム・ハーディが、病魔にまれていくカポネをすごみをみなぎらせて演じている。また、マット・ディロンやカイル・マクラクランら個性派キャストが脇を固める。

カポネ
2021年2月26日(金)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
配給:アルバトロス・フィルム
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