「死との約束」事件の根幹に関わる“本堂家”の山本耕史、シルビア・グラブ、市原隼人が明かす三谷作品の面白さ

フジテレビ系で3月6日に放送されるスペシャルドラマ「死との約束」(午後9:00)で、事件の根幹に関わる本堂家の3人を演じる山本耕史、シルビア・グラブ、市原隼人が三谷幸喜作品の魅力について語った。

本作は、主演・野村萬斎×原作・アガサ・クリスティー×脚本・三谷幸喜の夢のコラボレーション待望のシリーズ第3弾。“巡礼の道”として世界遺産にも登録されている熊野古道を舞台に、時代設定を昭和30年に置き換え、勝呂武尊(野村)の活躍を描く。

三谷作品の常連で、三谷が最も信頼する役者の1人でもある山本が演じるのは、本堂家の長男・本堂礼一郎。世間に対してどこか冷めていて、後ろ向き。長男でありながら、家族の問題からも距離を取り、なぜか母である本堂夫人(松坂慶子)には一切口答えをしない。

山本は「今回のお話を頂いた時はちょうどPARCO劇場で『大地』という三谷さんの舞台をやっている最中だったと思います。“ああ、あのシリーズの世界観に入れるんだ”と率直にうれしかったのと、続けてまた三谷さんの作品に出演できるっていう安心感もありました」と率直に喜ぶ。

今回の脚本には「面白いボタンの掛け違いがあって、三谷さんがすごく得意とする分野の脚本。結構入り組んだ難しいミステリーを三谷さんがうまく書いている本だと思いました。謎解きのシーンは、三谷さんらしい密室劇というか。ゆるやかなところから追い込んでいって、トンネルを抜けて、抜けて、こう出る、みたいな。長尺のワンシチュエーションのシーンは、撮影は大変ですけれど、昔は結構こういう感じの緊張感あったなあと。最近はいろいろな場面で、いろいろなことが起きて、というテンポの速い作品がわりと多いと思うんですけれど、今回のように同じセットでじっくり話が展開していくという脚本は、僕は演じていてとても楽しかったです」と明かす。

同じく、三谷作品にはおなじみのシルビアが扮(ふん)するのは礼一郎の妻・本堂凪子。凪子は礼一郎の態度を好ましく思わず、本堂家に対しての距離の取り方も、気を使いながら微妙なバランスを保っている。

シルビアは「三谷さんはコメディー色が強いものをよく書かれているのですが、初めに台本を読んだ時は、実はコメディー色はあまり感じられなかったんです。ちょっと珍しいなと思ったんですけれど、演じてみるとやっぱり面白い。個々のキャラクターもきちんと立っていて、すべて分かった上で書かれている台本」と舌を巻く。

また、「すごく楽しんで演じさせていただきましたが、どう映っているのか? 放送がすごく楽しみです。ドラマはシーンの順番に撮らないこともあるので、特に凪子というキャラクターについてはどう仕上がっているのだろうか、全く想像がつかないです」と仕上がりに期待を寄せ、「萬斎さんとは初めての共演でしたが、お声に特徴があるので、その声の響きを間近で聞けたことはすごく勉強になりました。そしてあのすごいセリフ量のシーンに、その場にいられることもすごく幸せでした。本堂家は、山本さんがムードメーカーになっていたので、和気あいあいと現場の空気が明るくなっていました。松坂さんもおだやかで。あまり映像の現場を経験していないので、初めは少し不安を感じましたが、最初から皆さんが話しかけてくださったので、ちょっとホッとしました。舞台の稽古くらい濃厚な時間を過ごすことができました」と充実した撮影を振り返っている。

本藤家の次男・本堂主水役を詰めるのが市原。主水は幼い頃から本堂夫人に支配され、外の世界を全く知らずに育ってきた人物。今作が三谷作品初出演となる市原は「三谷さんの脚本は、普段、人に見られたくない感情や繊細な影の部分を書かれているのですが、セリフが自然と体になじみ、気が付くと作品全体のテンポに乗せられ、読んでいくうちにどんどんスピードが上がっていく脚本から、すぐにその世界観に入り込むことができた」と感激。

そして、豪華な面々との共演について「僕はもう夢の中にいるみたいに楽しくて(笑)。萬斎さんとは『陰陽師Ⅱ』(2003年)で、鈴木京香さんとはデビューして間もない頃にご一緒させていただき。また、あらためてこうして時を経てご一緒させていただくと、照れくさいような、歯がゆいような…実際、すごくうれしかったです。“役者の醍醐味(だいごみ)とは、また違う役でこうしてお会いすることなんだな”と感じさせていただきました。そして『蒲田行進曲』(1982年)は、僕が一番好きな映画といっても過言ではない映画なので、その松坂さんの息子役を演じることができたことも、すごくうれしく舞い上がる思いでした」と感慨深げ。

さらに「萬斎さんが作り上げる勝呂は、これはもう萬斎さんにしかできない、唯一無二の、お芝居というか“表現”で、同じ時間を過ごさせていただき、とても勉強になりました。実際の撮影は、緊張感のあるシーンが続いたのですが、その半面、カットがかかるとみんなで“こう演出しようか?”とか“こういう人間性や関係性にしていこうか?”など包み隠さず、壁を作らずに一緒に制作していける現場で、すごく居心地がよかったです。熊野古道でのロケもとても気持ちがよくて。われわれが住む日本にまだこんなに素晴らしいところが残っているんだなと。ご覧いただく視聴者の皆さまにもいろいろな日本のわびさび、古い伝統を残していく場所があるということを感じていただきたいです」と見どころをアピールしている。

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