夏休みの過ごし方で 「差」を付ける!

あと数カ月すると、子どもたちが待ちに待った夏休みです。米国の学校は6月初旬から8月まで長い夏休みがあります。

日本の夏休みといえば、子どもたちが思いっきり遊べるとき。しかし、バイリンガルの子どもにとっての夏休みは、ライバルに差を付けるとき、普段できない活動に集中して取り組むときです。

夏休みは学校生活の 2年間分

毎年夏休みになると多くの日本人家庭が里帰りします。もちろん、日本に住む祖父母や親戚と過ごす経験は、子どもの日本語力やアイデンティティーの形成に大きな意味を持ちます。

しかし、特にすることもなく、だらだら毎日を過ごしてしまうと、新学年が始まったときにツケが回ってくるので注意しましょう。気持ちがゆるみ、生活が不規則になり、英語力がさびつき、学校への適応が難しくなってしまうのです。

バイリンガル環境で育つ子どもにとって、夏休みの過ごし方は将来を左右する大切な時期なのです。幼稚園から高校まで学校生活13年間のうち、夏休みは合計2年間もあります。

この2年間を遊んで過ごすか、自己の能力や技能を向上させて過ごすかによって、子どもの将来に大きな「差」が生じることは容易に想像できると思います。

英語力を極端に 低下させない

アメリカの場合、夏休みに宿題や課題が出ることはありません。夏休み中に子どもがどのような活動に取り組むかは100%家庭に任されています。

夏休みまでの9カ月の間、努力して向上させてきた英語力が、夏休み中に落ち込んでしまわないように、毎日少しでいいので、英語の読書やワークブックに取り組む時間を作りましょう。

英語力が弱い子どもの場合、日本への帰省はできるだけ短期間に抑え、海外のサマースクールやサマーキャンプへ参加させることを検討しましょう。

それは、現地校に通う子どもが「英語」への苦手意識から、「自分は勉強ができない」と自信喪失に陥りがちだからです。

英語力を早期に向上させることが現地校への適応には不可欠であり、それを一気に実現できるのが夏休みです。英語ができるようになれば自信が回復し、学校の授業にも付いていけるようになります。

自信を持って新学年を 迎えるために

夏休みが終わり新しい学年が始まると、先生、クラスメート、宿題の進め方など、子どもを取り巻く環境が一変します。特に、キンダーガーテン、小学1年、ミドルスクールに上がる子どもは、大きな環境の変化と直面するので、心理不安定に陥りがちです。

子どもの学校への適応を促すコツは親が夏休みだからと油断せず、睡眠、食事、遊び、勉強など、毎日の生活リズムを一定に保つことです。生活リズムの乱れは必ず心理不安を引き起こすので、注意してください。

お勧めは、現地のサマープログラムに参加させて子どもが好きなこと、得意なことに集中して取り組ませる経験です。スポーツ、音楽、演劇、キャンプなど、海外には多様なサマープログラムがありますから利用しない手はありません。サマープログラムに参加することで生活リズムの乱れを回避できます。

学齢期を通して 計画を立てる

夏休みの過ごし方は長期的な計画を立てることが大切です。

例えば、小学校低学年は英語力強化、小学校高学年から中学はスポーツなど課外活動の強化、高校からはボランティアやインターンなどの社会参加、というように、学校生活を通して夏休みをどう過ごすのか大まかな計画を立てておくのです。子どもの現地校生活をより充実したものにするために、そして世界で活躍できるたくましいバイリンガルに育てるために、長い夏休みを有効に活用してください。

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。 しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾TLC for Kidsを開設。 2015年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。 アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。 イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。 著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

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