<金口木舌>校則、鋳型から多様性へ

 スカートの長さや髪形、靴下の色などを定めた校則。「ハイソックスは禁止」「左右の長さの違う髪形はだめ」。規定は事細かい。「こんなことまで」と首をひねりたくなるような校則もある▼「学校は軍隊みたいだ」という嘆きを中学生から聞く。校則の必要性を問われ、答えられる教員はどれぐらいいるだろうか。生徒を管理しようという学校側の意思の表れであろう。根底にあるのは古くて画一的な生徒観

▼髪を黒く染めるよう教師に強要されたとして大阪府立高の元女子生徒が府に損害賠償を求めた訴訟の判決があった。大阪地裁は頭髪指導の違法性は認めなかったが、不登校時の学校の対応を違法として一部賠償を命じた

▼元女子生徒は大人になって提訴した。判決を受け、名古屋大の内田良准教授は校則について「(何が良くて何が悪いかを)自分で考えて選べるようにするのが教育の使命だ」と時代の変化に沿った見直しを促す

▼糸満市立西崎中の生徒会が校則の改定案をPTAや住民でつくる学校運営協議会に提案した。男子のスカート着用、腕まくりや登下校時のマフラーなどを認めるよう盛り込んだ。多様性を重んじる感性がうかがえる

▼生徒を鋳型にはめる校則から多様性を尊重する校則へ。学校は社会の縮図。この中で生徒が提起し、教員と共に校則を変えていく。この試みは社会を変える力にもなる。

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