竹富島のホテル建設を巡る訴訟、名誉毀損認めず 業者の請求を棄却 那覇地裁

 竹富島のコンドイビーチ周辺で計画されているリゾートホテル建設事業を巡り、事業者のアールジェイエステート(那覇市)が、建設に反対する住民でつくる「竹富島を守る会」のインターネット上の投稿の一部に名誉を毀損されたとして、同会の阿佐伊拓会長(52)に損害賠償などを求めた訴訟で、那覇地裁(山口和宏裁判長)は19日、同社の請求を棄却した。

 判決理由で山口裁判長は、ホテル建設によって周辺海域のサンゴ礁に大きなストレスを与えるなどとする同会の投稿内容について「当然に想定もしくは危惧されること」と指摘。「事業者の社会的評価を低下させるような印象を与えるとは解しがたい」と判示した。

 阿佐伊会長は、計画に反対する島民を萎縮させるための不当訴訟だとして同社を反訴していたが、山口裁判長は「反対運動の萎縮を目的とした提訴とまでは推認できない」と退けた。

 判決後の会見で、阿佐伊会長は「胸をなで下ろしている。ホテル建設の問題はあるので、今後どのように活動を進めるか島の皆さんと協議したい」と述べた。代理人の金高望弁護士は「勝訴判決と受け止めている。穏当、妥当な表現活動だと裁判所が明確にした意義は大きい」と強調した。

 同社は本紙取材に「コメントは控える」とした。

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