滋賀県立近代美術館は「滋賀県立美術館」へ:6月に向けリニューアル進行中!

1984年に開館し、2017年よりリニューアル休館を行なっていた滋賀県立近代美術館が、2021年6月27日についにリニューアルオープン。その際、「滋賀県立美術館」へと改名することがわかった

近現代の作品や「アール・ブリュット」と呼ばれる作品の収集に力を入れてきた同館だが、リニューアルを機に時代にとらわれない幅広い展示や新たな取り組みを行うため、名称から「近代」を除き、「滋賀県立美術館」への変更を決めたのだという。

リニューアルにあたってのコンセプトは「かわる かかわる ミュージアム」。ますます変動していく社会に対して、柔軟に関わりながら変わり続ける美術館の姿を実感するとともに、来館者も能動的に関わり始め、美術館と来館者の間のコミュニケーションが変わっていくことが目指される。

エントランスイメージ
美術館外観イメージ

目玉のひとつは「ウェルカムゾーン」

今回のリニューアルプロジェクトの目玉のひとつは、エントランスロビーとその周辺の空間の再構築。この場所は「ウェルカムゾーン」と位置づけられ、子どもの来館者などより多くの人々が美術館での時間を楽しめるスペースとなる。エントランスを入ってすぐのロビーにはカフェやショップを、同じ1階には、多目的に使えるラボや、ちょっとした展示に使えるポップアップギャラリーも用意される。2階にはくつろぎルーム、キッズスペース、そして授乳室を新設。館内のサインなども一新される。

キッズスペース

3組からなるデザイチーム

リニューアルに関わるデザインチームは3組からなる。まずは、デザイン統括、設計、広報には、大阪を拠点に家具の製造・販売、グラフィックデザイン、スペースデザイン、プロダクトデザイン、コミュニティデザイン、カフェの運営や食や音楽のイベント運営に至るまで暮らしにまつわる様々な要素をものづくりから考え実践するクリエイティブユニット「graf」。グラフィック、サイン計画は、2007年に原田祐馬が設立し、大阪を拠点に文化や福祉、地域に関わるプロジェクトを中心に、グラフィック、空間、展覧会や企画開発などを通して、理念を可視化し新しい体験をつくりだすことを目指す「UMA/desing farm」。そしてウェブディレクション、制作は、アート、音楽など文化全般のウェブサイトディレクション、デザイン、制作を中心に活動する石黒宇宙 (gm projects)。

彼らはそれぞれ「うごく かさなる」「かさなる とびたつ」「とびたつ つながる」などのコンセプトを掲げ、美術館を一体的にデザインしていく。

保坂健二朗 撮影:木奥恵三

ディレクター(館長)の保坂健二朗は公式メッセージの中で「美術館は刺激を与えてくれる場所であるとよく言われます。もちろん、次の新しいクリエイションへとつながるような刺激を来た人に与えることも大事でしょう。ただ、ここ滋賀の美術館は、コレクションの内容からしても立地からしても、とんがった刺激よりは、ほっとしていただけるようなやわらかな刺激を与える場所を目指すべきだと思っていますし、特にこのコロナ禍においては、そうした役割もまた美術館に求められているものではないかと考えています」として、美術館のこれからの方向性を示す。

なお、3月1日19:00からは保坂健二朗(滋賀県立近代美術館ディレクター[館長])、服部滋樹(graf代表)、原田祐馬(UMA/desing farm代表)が、美術館がこれから目指す姿について語るオンライントークイベント、関西拠点のアーティストの視線を通したSNS配信も行われている。こうした様々な動きに注目するとともに、新たな美術館の誕生を楽しみに待ちたい。

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滋賀県立美術館
リニューアル開館日:2021年6月27日
住所:
https://www.shigamuseum.jp/

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