高橋伴明監督「”こんな死に方もありますよ”とそっと差し出したつもりの映画」 映画「痛くない死に方」

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長尾和宏医師のベストセラー「痛くない死に方」「痛い在宅医」を原作とした映画「痛くない死に方」の初日舞台挨拶が20日に都内で行われ、柄本佑、宇崎竜童、奥田瑛二、長尾和宏医師、高橋伴明監督が登壇。高橋伴明監督が、映画化のきっかけなどについて語った。

冒頭で高橋伴明監督は、「実はこの映画の公開は延期になったんですよね。今日という日も本当にどうなるかわからなかったんですが、やっと皆さんに届けることができたことが一番うれしいです。映画というのは見ていただいてやっと完結すると思うんです。ですから、本当に感謝しております。今日の登壇者以外にも、『よくこんな人がこの映画のために集まってくれた』という驚くようなキャスティングになっています。その辺もゆっくり堪能してください」と、集まった観客に感謝を述べた。

本作は長尾和宏医師のベストセラーを映画化した作品。「65になった時に、自分が死ぬということを真面目に考え出したんです。死の周辺に関わる本だとか資料だとかを結構読んでいまして、在宅医療や尊厳死協会があるということを知りまして、かみさん(女優の高橋惠子)に、一緒に入っちゃわないと誘いました。前向きに同意してくれました。この映画のテーマというには身近なテーマとして感じていました」と、プロデューサーから長尾医師の著書「痛い在宅医」の映画化を持ちかけられる前から在宅医療に関して興味があり、家族でも話し合っていたことを語った。

最後に高橋監督は、「死との向き合い方。病気との向き合い方。設備の整った大きな病院に入院することがいいのか、自宅で静かに最期を迎えるのがいいのか、いろんな考え方があると思いますが、自分ならこのように死んでいきたいなということを形にしたつもりです。みなさんに『こうしたらいいです』と言っている訳ではなく、『こんな死に方もありますよ』とそっと差し出したつもりの映画なので、それをどのように受け取っていただいてもいいと思います」と、観客にメッセージを送った。

「痛くない死に方」は、在宅医療の専門家である長尾和宏のベストセラーを原作に、仕事に追われて家庭崩壊の危機に陥りながらも、大病院でなく在宅医だからこそできる医療を模索する医師の成長物語。主人公の医師・河田仁を柄本佑が演じ、坂井真紀、奥田瑛二、余貴美子、宇崎竜童、大谷直子らが脇を固めている。監督・脚本は、「BOX 袴田事件 命とは」などを手がけた高橋伴明が務めている。

痛くない死に方
2021年2月20日(土)よりシネスイッチ銀座ほかにて公開
配給:渋谷プロダクション
©「痛くない死に方」製作委員会

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