剣吉諏訪神社の御輿 250年ぶり京都へ“里帰り" 

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250年ぶりに京都へ「里帰り」し、大規模修復される剣吉諏訪神社御輿=14日、南部町

 南部町剣吉の剣吉諏訪神社に伝わる御輿(みこし)が、1771年の制作から250年の時を経て生まれ故郷へ“里帰り”した。御輿は毎年、同神社の例大祭に合わせて開催される「名川秋まつり」で使われており、経年劣化が進んでいたことから、地元有志が今回、寄付や民間財団の助成を活用して京都の専門業者へ修復を依頼した。順調に進めば、9月の同まつりまでに化粧直しを終える予定。関係者は「制作当時のようなきれいな姿を見るのが楽しみだ」と期待に胸を膨らませる。

 町有形民俗文化財に指定されている御輿は、当時の剣吉地区の有力者たちが京都の職人に制作を依頼して取り寄せた。底面には明和8(1771)年4月に「京都六角通室町」で建造されたことを示す朱書きが残る。同神社では72年から例大祭で御輿行列が練り歩くようになり、現在に至るまで伝統が受け継がれている。

 同神社総代で、町文化財審議会議長も務める川守田喜一さん(70)によると、剣吉地区にはかつて近江商人が住んでおり、京都とのつながりを生かして御輿を発注したとみられる。材料にヒノキを使っているため耐久性は高いが、これまで大規模な修復はしておらず、漆が剝げ落ちたり、金具が劣化したりする部分が目立つようになっていた。

 くしくも制作から250年の節目に民間財団の助成が決まり、地域住民の寄付金も募って修復資金を確保するめどが付いた。

 14日は地元の関係者約20人が同神社で出立安全祈願祭を執り行い、御輿を積んだトラックが専門業者「田中塗師勘」(京都市)の滋賀県にある工場へ向けて出発するのを見送った。

 同日は晴天に恵まれ、参列者が「里帰りには最高の天気だな」と目を細める場面も。同神社責任役員の岩間清貴さん(69)も「京の風に当たり、化粧をして、きれいになって帰ってきてくれたら」と期待した。

 修復は8月に終わる見通し。岩間さんは「昨年は新型コロナウイルスで祭りが中止になった。今年は新しい御輿をお披露目し、盛大に祭りを開きたい」と力を込めた。

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