新潟県糸魚川市がZoomによる大学教授などのオンライン研究発表会を開催

会場には約20人が集まった

新潟県糸魚川市は20日、糸魚川市内の学術調査や研究の費用を助成している大学教授や大学院生など4人のオンライン成果発表会を糸魚川市のフォッサマグナミュージアムで開いた。コロナ禍で初のZoomを使用したオンライン発表となった。

この日は、立正大学地球環境科学研究科の大学生樋口絢渉(糸魚川市出身)さん、千葉科学大学危機管理学部の植木岳雪教授、聖学院中学校の山本享教諭、新潟大学大学院自然科学研究科の川尻啄真さんが、糸魚川市での現地調査を含む1年間の研究成果を発表した。

会場には市民など約20人、オンラインは全国のジオパーク関係者など17人が参加した。
各発表者は地質学の専門的分野の発表が主となったが、会場には新潟焼山の麓に住む人や、地質学に関心のある市民が集まった。

立正大学の樋口さんは、新潟焼山の活動期に見られるマグマについての研究を発表したほか、千葉科学大学の植木教授は大規模地すべりについての研究を発表した。

また、聖学院中学校の山本教諭は、富山方面からの糸魚川ジオパークを活用したインバウンドによる地域活性化の可能性と題して発表。山本教諭は「台湾の観光客をターゲットに、糸魚川市のジオパークを活かした体験型のコンテンツを発信すべき」と提案した。

最後に、新潟大学大学院生の川尻さんは約1億8000万年前のジュラ紀の地層などについての研究を報告した。会場からは「恐竜がいた時代の話が聞けて、興味深かった」という意見が出された。

糸魚川市の担当者によると、今回のオンライン発表が成功したことから、今後も実施を検討する。この発表会は平成26年から始まり、今回は7回目。一人当たり10万円の助成をしており、これまで延べ54人に助成しているという。

糸魚川市は、補助金を出して糸魚川ユネスコ世界ジオパークを調査フィールドとする研究者を募り、最終的には市の政策などに反映させる狙いがある。ジオパークとは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所をいう。

ユネスコ世界ジオパークとは、ユネスコの定める基準に基づいて認定された高品質のジオパークで、世界41カ国、147地域(2019年4月現在)にユネスコ世界ジオパークがあり、このうち9地域が日本にある。

オンライン発表会の様子

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