残り150日

 アンラッキーな失点に座り込んだり、大事なラケットを放り出して当たり散らしたり…と感情の起伏があらわだった2年前とは大違いに見えた。全豪オープンテニスの女子シングルス、「危なげない」の形容がぴったりの戦いぶりで優勝を飾った大坂なおみ選手▲「見に来てくれて、ありがとう」。決勝戦後のスピーチで観衆への感謝を語った。日程の途中に新型コロナに伴う短期間のロックダウン(都市封鎖)で無観客開催の期間があった。「皆さんからエネルギーをもらうことには多くの意味があります」▲精神面の成長も強く印象づけた女王の言葉だ。観衆の笑顔やどよめきや拍手やため息…その全てがスーパープレーを支えている。「見る人」もスポーツの重要な要素であることを改めて思う▲昨日のインタビューでは東京五輪への期待も口にしていた。「どのアスリートも楽しみにしている」。7月の開会式までいよいよ150日▲同じ数値や分量を眺めて「まだ○○ある」と感じるか「もう…しかない」と考えるか、はよく知られる性格診断だが、こと五輪に関する限り、まだ5カ月も…と楽観的な気分にはなりにくい。五輪はどうなる▲大会組織委の会長人事を巡るドタバタも絡み、議論は少しも前進していない。丁寧な検討を急ぎ足で-難題である。(智)

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