
鹿児島市が2013年度に導入した認知症の高齢者らを見守るボランティアの登録者数が、19年度で700人を超えた。順調な伸びを示す一方で、実際に活動した人は133人にとどまる。認知度不足に加え、利用をためらう市民がいるためだ。
ボランティアの「見守りメイト」は、利用を希望する家族の依頼で対象者の自宅に出向き、主に安否確認をしたり、話し相手になったりする。登録には市が主催する養成講座を受ける必要があり、認知症の症状や対象者への接し方、家族の気持ちなどを3日間かけて学ぶ。
登録者の多くは50~70代が占めるが10代や90代もいる。2月9日には谷山サザンホール(谷山中央1丁目)で研修会があり、54人のメイトが知識やスキルを深めた。
4年前から活動している米元憲治さん(78)=田上3丁目=は「一人暮らしの女性を担当していて、夜に照明が付くかなどをチェックしている。人とのつながりを生むすばらしい取り組みだと思う」と話した。
長寿あんしん課によると、実際に利用した家族からは「県外に住んでいて、新型コロナウイルスの影響で帰省できない。本当に助かっている」「認知症の妻がメイトさんと楽しそうに話している」など喜びの声が多く聞かれるという。
利用者は14年度こそ6人だったが、16年度51人、19年度99人と徐々に増えている。一方で「認知症の家族がいることを、まわりの人に知られるのが恥ずかしい」という人もいる。同課は「認知症の人を地域で支える仕組みはできつつある。気軽に相談してほしい」と呼び掛ける。
利用の申し込みやメイト養成講座の問い合わせは長寿あんしん相談センター本部=099(813)1040。
