「160キロは出したい」 オリドラ1・山下舜平大、考えるのは「ストレートのことばかり」

オリックス・山下舜平大【写真:荒川祐史】

山本由伸、山岡泰輔らの投球に「レベルが高い、正直びびった」

最速153キロを誇るオリックスのドラフト1位ルーキー・山下舜平大投手。プロ初のキャンプではブルペンで中嶋監督も驚愕するストレートを披露するなど、そのポテンシャルは無限大だ。今回はFull-Countの独占インタビューに応じ、尊敬する山本由伸投手、こだわり続ける直球など1年目のシーズンに向けた思いを語ってくれた。【橋本健吾】

身長189センチ、体重93キロの大型右腕は一歩ずつ、ゆっくりとプロの階段を上っている。キャンプ終盤に差し掛かりブルペンでは捕手を立たせての投球が続いてる。まだ5、6割の投球でも中嶋監督、福良GMら首脳陣らの評価はうなぎ上りだ。

同じ高卒ルーキーたちが実戦デビューを果たす中でも焦りは感じていない。「体も怪我もなく、痛い所もない。コンディショニングも良い状態で、ブルペンも回数を踏むごとに順調です。初めてのキャンプでちょっと疲労も出てきたのでそこを乗り越えて行きたい。みんなは紅白戦に出ているので、焦りというよりもその段階かぁ。凄いなぁと…今の段階でもう(試合に)出てるんだなと感じています」。

オリックスのキャンプ地は1軍、2軍の球場が隣接しており、ブルペンは1箇所だが10人が同時に入れる広さだ。山本由伸、山岡泰輔らエース級の投球を間近で感じ「ブルペン、キャッチボールとか予想していたよりだいぶレベルが高い。正直びびった(笑)」と、一流投手たちの力を実感した様子。

2軍スタートの高卒ルーキーにとっては目から鱗の経験だったようで「もちろん球筋も見ますが。上半身の使い方は人によってバラバラなので、自分は常に下半身を見るようにします。右足の使い方。体重移動とか軸足の使い方。ピッチャーは足を使って投げる。自分にとってはずっと課題だったので勉強になりました」。

オリックス・山下舜平大【写真:荒川祐史】

福良GM「まずは真っすぐ、カーブだけで勝負してもいい」

山下の魅力は何と言っても重みを感じるストレートだ。本人も誰にも負けないこだわりを持っている。

「自分の中でカーブが1割で9割は直球。それぐらいストレートにこだわりを持っていた。キャンプ中も基礎、ウエートトレーニングをやっていますが、全ては球速、質を上げるためにやっている。ずっとストレートのことばかり考えています。今は153キロですが160キロは出したい。伸びしろという部分でも球団に評価されたと思っていますし、自分でもまだまだ伸びるなと感じています」

福良GMもその素質の高さに目を細めている。山本、宮城といった“エース候補”のルーキーイヤーと比較し「あいつらもそうだったけど、まずは本人を焦らせないように。肘、肩甲骨の使い方が柔らかいし、どんどん投げられるようになれば(1年目の1軍デビューも)あるんじゃないかな。高校時代のようにまずは真っすぐ、カーブだけで勝負してもいい。そこから気付くことがある。楽しみな存在だよ」と評価する。

今シーズンは憧れの大先輩“由伸ロード”を経て一流への階段を上がっていくつもりだ。山本はルーキーイヤーの2017年、5試合に登板して1勝1敗、防御率5.32の成績を残した。「1年目に1軍を経験できたら視野も広がる。経験するかしないかで、全然違うと思う。1年で上がりたい。1軍を経験できるようにしっかり、やっていきたいですし、その中で基礎、体作りに取り組んでいきたい。由伸さんは日本トップのピッチャーだと思う。あそこに入れるような過程を歩んでいきたい」と意気込みを口にする。

キャンプ中には捕手を座らせて本格的な投球も開始予定。今シーズン中に1軍デビューを果たし、山本と共に“Wエース”と呼ばれるその日まで――。山下舜平大の一挙手一投足に注目していきたい。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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