田中将大は「中6日・120球」への対応が関門か 今月決定、楽天開幕投手は誰に?

楽天・則本昂大、田中将大、涌井秀章(左から)【写真:荒川祐史】

過去9度の涌井を筆頭に岸、則本昂と経験者ズラリ

田中将大投手が8年ぶりに復帰した楽天が22日、沖縄・金武キャンプを打ち上げた。チームは今月いっぱい沖縄県内に残って練習試合5試合を行い、3月1日に本拠地・仙台へ戻る予定。石井一久GM兼監督は3月26日の今季開幕戦(対日本ハム、楽天生命パーク)に先発する「開幕投手」について、「沖縄にいる間にと考えている」と今月中に決める考えを示した。

今季の楽天の先発投手陣は田中将をはじめ、涌井秀章、岸孝之、則本昂大と実績のある顔ぶれがそろう。開幕投手がこの4人の中から選ばれるのは間違いないだろう。

4人はそれぞれ、経験も豊富だ。則本昂は昨季を含め楽天で6度も大役を務めている。一昨年オフに金銭トレードでロッテから移籍した涌井は、西武時代に5度、ロッテで4度、計9度という断トツの経験を誇る。岸も楽天で一昨年に1度、西武時代にも2度、計3度務めている。

田中将の楽天での開幕投手は2012年の1度だけだが、メジャーで名門ヤンキースのオープニングピッチャーを7年間で4度も務めている。8年ぶりの日本球界復帰登板が開幕戦になったとしても、重圧に感じることはないだろう。現役時代にヤクルトで5度の経験がある石井監督が誰を指名するか。

ここで改めて注目されるのは、石井監督がキャンプ中に「アメリカは中4日で100球が目安だが、今年僕としては、中6日で120球。先発投手としてはそこをクリアしてほしい」と発言している点だ。

田中将、昨季の1試合平均投球数は約77球

実際、田中はヤンキースに在籍した昨季、コロナ禍でメジャーの試合数が大幅に削減された中で10試合先発にとどまり、3勝3敗、防御率3.56。1試合平均の投球回は約4.8回、投球数は約76.9球に過ぎなかった。一昨年の2019年は、リリーフ登板1試合を除外すると、31試合に先発し11勝8敗、防御率4.47。1試合平均で約5.7回、約87球だった。

一方、涌井は移籍2年目の昨季、20試合11勝4敗で最多勝のタイトルを獲得。1試合平均で約6.5回、約106.5球を投げ、最多で132球を投げた試合があった。シーズン序盤に腰の違和感で出遅れた岸は、11試合7勝0敗。1試合平均で約6.1回、約99.1球、最多は124球。ルーキーイヤーから6年連続2桁勝利をマークした後、過去2年連続5勝止まりの則本昂は昨季18試合5勝7敗。1試合平均で約6.1試合、105.1球。最多は130球だった。

田中将は今年、4人の中で最も早く、20日の日本ハムとの練習試合で実戦のマウンドに上がった。中田翔内野手に3ランを浴び、2回4安打3失点。石井監督は「いいステップだと思います。たぶんまだ“腹8分目”くらい。この時期にあれくらい投げてくれれば心配はない」と評したが、メジャーにはない日本式の軟らかいマウンドへの対応に苦戦していた。

おそらく、登板間隔が長いが1試合の投球数が多い日本の先発ローテーションの感覚を取り戻すのも、決して簡単な作業ではないだろう。そのあたりも加味しながら、指揮官は誰を開幕投手に指名するのか。決断の時は近づいている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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