近世支えた地役人「横山家」知って 江戸参府同行、通訳も

江戸参府に同行した横山喜三太が京都で買ったとされるわんなどが並ぶ企画展=長崎市、シーボルト記念館

 出島オランダ商館医シーボルトが江戸幕府に謁見(えっけん)した「江戸参府」で警備役を務め、通訳などでも活躍した地役人「横山家」を紹介する企画展が、長崎市鳴滝2丁目のシーボルト記念館で開かれている。同家に伝わる貴重な器や古文書など60点を展示している。
 同館によると、平戸出身の横山家は1641年に長崎に移り住み、長崎奉行の下で警察に当たる「町司」や通訳「通詞」など地役人を務めた。同展は、近世の長崎を支えた地役人を知ってもらおうと同館が初めて企画。子孫の横山定子さん=市内在住=が寄贈した古文書や掛け軸など約130点の一部が並んでいる。
 1826年の江戸参府に同行した町司の横山喜三太が、京都で注文して作ってもらったとされる朱塗りのおわんには、中国で長寿を象徴する桃が描かれている。中国文化が浸透した当時の長崎を伝える歴史資料で大きな価値があるという。
 43年に喜三太が書いた由緒書(経歴書)では、シーボルトが国禁の日本地図を持ち出そうとした「シーボルト事件」に触れ、「不届きのことがあり処罰を受けた」と記している。地役人に関する資料は少なく貴重という。
 夫と訪れた大浜町の主婦、木下喜美子さん(71)は「今まで知らなかったシーボルトと横山家の関わりを知れた。原爆があったが貴重な資料が残っていて良かった」と話した。入場料は一般100円、小中学生50円。長崎市民は無料。3月21日まで。

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