【大相撲】「退職勧告」の時津風親方 先代から続く“負の連鎖”…角界に同情の声なし

時津風親方(左)と先代の時津風親方の故山本順一氏

師匠の器ではなかったようだ。日本相撲協会は時津風親方(47=元幕内時津海)に対して「退職勧告」の懲戒処分と「退職金の30%減額」を決定した。同親方は1月の初場開催期間中に新型コロナウイルス感染対策のガイドライン(不要不急の外出禁止)に違反。都内の麻雀店に5日連続で出入りしていたほか、マッサージ店や風俗店にまで行っていたという。

相撲協会の定款で退職勧告は懲戒解雇に次いで2番目に重い処分。時津風親方は問題発覚後に自ら退職届を提出していたが、理事会での決定を受けて正式に受理された。同親方は昨年9月にも外出禁止期間中にゴルフコンペに参加するなどの違反行為が発覚し、秋場所後に2階級降格処分を受けたばかり。身勝手な行動に、角界で同情的な見方は皆無と言っていい。

芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「私が見る限り(時津風親方の態度から)〝申し訳なかった〟という感じは受けなかった」。あるベテラン親方も「自分で苦労をして部屋を持ったわけではないから、責任感がない」と指摘した。引退後の親方が自ら独立して部屋を興す場合、新弟子の勧誘から部屋の物件探し、運営費の捻出に至るまで多大な労力を必要とする。

そのような苦労を重ねながら、自然と師匠としての自覚が芽生えてくるという。時津風親方は先代師匠(元小結双津竜)が力士暴行事件で解雇されたことを受けて現役を引退。新たな師匠として部屋を継承した。志半ばで引退した無念はあるにせよ、師匠の立場は〝与えられて〟手に入れた格好。弟子たちの人生を引き受ける覚悟は最初からなかったということか。

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