「皇帝」の名言

 サッカーのJ2開幕が週末の27日に迫った。今季のV・ファーレン長崎はどんな戦いぶりを見せてくれるのか。心が躍る▲昨季はJ1昇格圏の2位にわずかに及ばない3位。実に悔しい思いをした。J2屈指の戦力を誇り、ボールを保持して主導権を握る攻撃サッカーは魅力的だった。ただ、肝心な所で勝てなかった。勝負強さを欠いていた▲西ドイツの名選手で「皇帝」と呼ばれたベッケンバウアー氏は勝負強かった。1974年のワールドカップ(W杯)西ドイツ大会決勝では、故クライフ氏を中心に先進的な全員攻撃、全員守備の戦術を披露したオランダと激突した▲西ドイツはクライフ氏を自由にさせない現実的戦術で対抗。圧倒的不利の下馬評を覆して見事頂点に立った。試合後の「強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ」という「皇帝」の言葉はあまりにも有名だ▲今季のJ2は2クラブがJ1に昇格する一方、例年より多い4クラブがJ3に降格するシビアな戦いとなる。輪を掛けて勝利への執着心が求められるはずだ▲もちろん吉田孝行新監督が「今季の目標はJ1昇格。もう、この一つだと思う」と言うようにチームは十分に分かっているだろう。今季こそ「強い者」ではなく「勝った者」でありたい。昨季の雪辱を県民は待ち望んでいる。(潤)


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