DaVinci Resolve Studio事例:長編映画「Waikiki(原題)」の場合

Blackmagic Designの発表によると、クリエイティブスタジオNice Shoesのシニアカラリスト、マリア・カレテーロ氏が賞を受賞した長編映画「Waikiki(原題)」のリモートグレーディングにDaVinci Resolve Studioを使用したという。

また同氏は、ミュージックビデオ「Lost Horse」、2021年サンダンス映画祭に出品された「All Light, Everywhere(原題)」など、注目のプロジェクトも複数手掛けている。Nice Shoesは、2020年に、ニューヨーク、トロント、ボストン、シカゴ、ミネアポリスの拠点を繋ぐリモートワークフローの一環として、DaVinci Resolve Studioを採用した。

「Waikiki」は、ハワイ出身の監督であり、サンダンス・インスティテュート・ネイティブ・ラボの会員であるクリストファー・カフナハナ氏による長編映画。パラダイスの生活における苦い現実を描いている。ポストプロダクションでは、カレテーロ氏はニューヨーク、デジタルインターミディエイト(DI)プロデューサーのケイティ・ヒンセン氏はLA、そしてカフナハナ監督はハワイでそれぞれ作業を行なった。

このチームコラボレーションは、Nice Shoesが開発した安全で色精度の高いビデオリンクを使うことで実現可能となった。この技術は、元々Nice Shoesが広告のクライアント用に作成したものであったが、パンデミック中の要件を満たすために改善され、映画やテレビ番組のプロジェクトでも使用されることになった。

ヒンセン氏:これまでは、リモートワークフローを使用するクライアントは月に数件でしたが、今ではほぼすべてがリモートワークフローになっています。また、これまではこれらのセッションを各スタジオで行なっていましたが、システムを改善したことで、アーティストとクライアントは自宅にいながら安全で色精度の高いリンクを使い、DaVinci Resolve Studioの出力を確認できるようになりました。

昨年から今年2021年にかけて、かなりの数のプロジェクトで、DaVinci Resolve Studioのコラボレーション機能を使用していますが、リモートワークフローを補完的に行うことができますね。アシスタントやオンラインエディターたちが、あらゆるプロジェクトにあらゆるコンピューターからいつでもアクセス可能なため、リソースを存分に活用できます。

リモートワークが始まる前は、アシスタントはカラリストの部屋に足を運んでシーケンスにショットを落とす必要がありましたが、今は物理的に地球上のどこにいても、タイムラインにアクセスできるのです。この機能のおかげで、様々な場所、様々な時間帯にいるチームを上手く回すことができました。この機能は「Waikiki」のようなプロジェクトには必要不可欠でしたね。

また、最近カレテーロ氏は、アサフ・アビダンの「Lost Horse」のミュージックビデオをリモートプロジェクトとして手掛けた。このプロジェクトは、ベルリンに拠点を置くアーディ・ハルフィン氏が監督を務め、隔離期間中にリモートで撮影およびポストプロダクションが行われた。ハルフィン監督はルックに関して非常に強いこだわりを持っていたという。

カレテーロ氏:ハルフィン監督は、常に非常に繊細な映像を希望していました。それぞれのシーンで雰囲気に臨場感を持たせるため、サチュレーションレベルを上げることでシャドウ部分のディテールを回復させる作業は膨大な量でした。

ヒンセン氏:DaVinci Resolve Studioはマリアや他のカラリストたちにとって、非常に優れたソリューションです。世界中の制作者たちとコラボレーションするためにワークフローの調整や改善を常に行なっているので、カラーマネージメントツールやコラボレーションツールセットは、必要不可欠ですね。

昨年、誰もが厳しい現実に直面しましたが、多くの長編映画のクライアントはDI作業をリモートで行ったことがありませんでした。DaVinci Resolve Studioのおかげでクライアントからの信頼を得ることができましたね。

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